15分トライアル日記5

15分トライアル日記5

Date: 2008/08/20

どうでもよいことは流行に従い、重大なことは道徳に従い、芸術のことは自分に従う。これは至極当たり前の生きるスタイルだ。これらが一つでもズレると途端に生きる意味をなくしてしまう。

どうでもいいことで道徳に従っても仕方ないし、道徳に従った芸術なんてつまらない。重大なことで流行に流されたって意味ないし、自分に従うのは独りよがりにすぎないからだ。

思い返すと、僕らの生活はこの中でも9割方がどうでもいいことで構成されている。仕事でこんなことがあった、相手先が怒り狂っていた、とんでもない損失を出した、そんなことは突き詰めればどうでもいいことだ。そんなもんに道徳観を持ち出しても意味ないし、一生懸命がんばるっす!と自分に従っても壮大なオナニーでしかない。適当に流行に流されていればいいのだ。

しかし、僕らはその多くの場面で道徳に従ってしまう。あるいは自分に従ってしまう。どうでもいい事柄であればあるほど、意味ないって心のどこかで分かってるくせに流行に流されることができないのだ。

先日、職場で強制的に受けさせられた社会人スキルアップセミナーみたいなものにいってきた。何でもこの高度情報化社会に対応すべく、様々なIT技術的な何かをご教授いただけるらしい。正直どうでもよくていきたくなかったのだけど、強制らしく、社会人なったら自らスキルアップ!とか鼻息を荒くしている同僚と受けてくることになった。

行ってみると、まあ、それはそれは無残で、きったねえプレハブ小屋みたいな教室でしかも半分しか使わせてもらってないという体たらく、残り半分は花屋らしく、干し柿みたいなオバハンが元気良く菊の花を売っていた。長机の上に並んでいる数台のパソコンも、そっかのメーカーのなんだろうけど見たこともないような、なんかマッキントッシュのパクリみたいな胡散臭いパソコンだった。

で、出てきた講師がこれまたすごくて、将来の夢はネットカフェ経営です!みたいな胡散臭いヒゲ面の男が出てきた。本当にこんなのでスキルアップできるのかよ。

でまあ、講義の内容がこれまたすごくて、エクセルとかワードの使い方講座から始まって、なんか実際に作業してみましょう、みたいなこと言われて「青い空」みたいな単語を各々のパソコンで延々と打ち込む、何か写経みたいな単純作業を強いられ、それ自体は別にいいんだけど、どうもエクセルとかワードとか金払って購入したヤツじゃないみたいで、「オンライン登録してください」みたいなのがガンガン出てた。それこどろかWindows自体も不正コピーな代物らしく、10分に1回くらい右下に「不正コピーの疑いが」みたいなファンキーである意味ロックなメッセージが出てた。大丈夫かよ。そんなんなら不正コピーの仕方教えてくれたほうがいくらかスキルアップになるわ。

そんなこんなで、なんか「スキルアップして転職!」みたいなことを血気盛んに語る、Mixiの広告に出てきそうな暑苦しい同僚と一緒にその怪しげなセミナーを毎週受けていて、マジ苦痛だったのですけど、まあ、こんなのはどうでもいいこと、例えるならば童貞がコンドームを買ってきて装着してより実戦に近いオナニーしてるんですけど、あまりに動きが激しすぎてコンドームが破けちゃうのね、亀頭のあたりからメリメリっと、で、童貞がそれを見て、おいおい、本番で破れたらこまるぞー、子供できちゃうぞーってニターっと苦笑いするような、全くその他の事象に影響を及ぼさない惨事くらいどうでもいいことだったんですけど、まあスキルアップとか流行ってるみたいだし流行に流されてみるかって感じで受け続けていたんです。まあ、会社が金出してくれるから無料だしね。

しかしながら、何回目だったかな、5回目くらいの授業の時に異変が起こったんです。その回は情報発信の重要性みたいな授業で、インターネット社会によって情報発信が容易になったことにより、それをいかにビジネスに活用していくか、みたいな講義でした。

何例か、どっかの商店街とか町工場みたいな青色吐息な企業がインターネットによる独創的な情報発信によって息を吹き返したみたいな事例が紹介されてました。で、それらの事例を胡散臭い講師が紹介するんですけど、なぜかそのホームページを紙にプリントアウトして配布するんですよ。

いやいや、目の前にパソコンがあるんだから実際にアクセスして説明とかすればいいじゃんって思うんですけど、多分、これらのパソコンがインターネットに繋がってなかったんでしょうね、ブラウザとか立ち上げようとすると烈火のごとく怒ってたし。

そんなこんなで、なぜか紙にプリントアウトされた、それもプリンタのインクなくなってきてて黒色が緑っぽい色で表示されちゃってる紙を見て説明を聞いていたんですけど、どうにもこうにも、本当に成功したのかしらと思いたくなるような事例がてんこもり。

そんないつものようにどんよりとした雰囲気の中講義が進んでいくのですが、話題は個人的な情報発信の重要性みたいな話になり、あまりビジネスとは関係ないですが、と前置した上でインターネットの世界に慣れるという意味ではブログなどを利用して個人レベルで情報発信することも大切です、みたいな話になりました。で、そういったブログでも大成功すればビジネスに繋がるみたいな話もしてました。

そいでもって、またもやプリントが登場して、講師の人が「こういうブログが成功例です」って言いながら配ったんですよね、そしたらアンタ、並みいるブログの中に思いっきり見たことあるデザインのページが紛れ込んでるじゃないですか。確かに他のサイトはそれこそ一線級のブログなんですけど、そんな中に思いっきりNumeriですよ。なんだこれ罰ゲームか。

で、講師がこれまた胡散臭く解説しましてね、最初は何かのニュース系ブログだったかな、このブログは上手に情報を収集してナントカカントカとか、その次のブログはユーザーの手によって作られるから運営人は何もせずにビジネスが成立するウンタラカンタラみたいなことを丁寧に説明してました。

で、いよいよNumeriが解説される番になって、僕もまあ、ちょっとドキドキしながら聞いてたんですけど、そしたらまあ、「このブログは適当に文章を書いてるだけで多くの人に読んでもらえ」みたいなとんでもないこと言ってました。まあ、適当に書いてるのは間違いないんですけど、そもそもNumeriはブログじゃないですから。

この運営人の考え方は、身近な話題を分かりやすく読者に伝え、みたいな勝手に僕の考えを代弁してくれてたみたいなんですけど、あいにくと、僕もはじめて聞く考え方の連続で大変新鮮でした。

この胡散臭い授業のあと、暑苦しい同僚がプリントを手に僕の元にやってきて、

「見てください、このブログ、なんか精液とか平気で書いてあるんですけど!なんか許せなくないですか!」

みたいなことを拳をプルプル震わせながら憤ってました。もちろん、それはいつの日記か知りませんがプリントアウトされたNumeriのトップ日記でした。

「うん、良くないね。でもそれはたぶんブログじゃないと思うよ」

みたいなことを返答してお茶を濁すことしかできませんでした。

きっと彼にはブログの情報発信ってのは重大なことだったのだろう、それだけに彼は道徳に従い、精液という言葉が踊る日記に怒りを覚えたのだ。彼はきっといいブロガーになる。しかし、僕にとってNumeriはそんなに重大なことではない。かといってどうでもいいことでもない。少なくともそんなレベルに達していなくとも、Numeriは僕にとって芸術なのだ。だから僕は自分に従い、これからも精液という言葉を書き続けていくだろう。

そのセミナーはその1ヵ月後ぐらいに思いっきり潰れていた。金払えとか今時あるのかって言う張り紙いっぱいされてた。Windowsとかちゃんと購入するのは重大なことだろう、ちゃんと道徳に従って払えよと思うことしかできなかった。あと全然スキルアップしなかった。

12分08秒

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