出会い系サイトと対決する-ファイナル-

出会い系サイトと対決する-ファイナル-

Date: 2008/06/27

訴えられました。

いやいやいや、いきなりそんなこと言ってもどうしようもないですね、どうしようもないですね、まずは色々と整理して順序だててお話して行きましょう。

あれはアンニュイな午後のことでした、いきなり配達証明郵便だったか特別送達だったか、何だかで物々しい感じで一通の郵便が届きました。ちなみに届けてくれた郵便局員さんはダライラマに似ていたことも書き添えておきます。

おお、この禍々しき郵便は何事だ!とオナニーの手を休めて郵便物を手にすると、封書には「福岡簡易裁判所」の文字。以前にも画像だけ紹介したのですけど、思いっきりオーラを感じる封書を受け取ってしまったのです。封書から熱量を感じるほどだった。

中を開けると思いっきり「訴状」が入ってまして、まあ、色々とパニックに陥ること放射能漏れの如しなんですけど、とにかく簡単に言うと僕が訴えられてしまったみたいなんです。

画像

いやー、まいったね、ホント、来るとこまできちまったなーってある意味感慨深かったよ。僕も色々な債権回収業者と血で血を洗う抗争を繰り広げてきましたよ。ある時は「テレホンセックス代未納」とデカデカと書かれたハガキが家に舞い込んできたり、職場にまで架空請求業者から嫌がらせの電話がかかってきたり、実家の親父にまで「息子さんがエロサイトの料金を払ってくれない」なんて連絡が行ったり、親父がジャパネットTAKATAでパソコンを買ったり、と最後は関係ないですけどとんでもないことになってました。

こういった悪徳業者と対決をする時、最初はステルス戦闘機の如く自らの氏名や住所を隠して闘っていたのですが、なんていうか匿名で応戦って卑怯な感じがするじゃないですか、もっと剥き出しで魂と魂のぶつかり合いみたいな熱い闘いをしたいじゃないですか。俺より強いやつを探しに行きたいじゃないですか。そんなこんなで住所氏名電話番号を曝け出して戦うようにしていたんですね。

「いいから金払え!」

「殺すぞ!」

「親戚全員に連絡するぞ!」

不思議なもので、こちらは全て曝け出して闘っている、つまりは「住所氏名も教えてるんだから早く訴えろよ」という無言のメッセージを送っているというのに訴えてこない悪徳業者ばかり。上記のような脅しの文言を電話口で怒鳴る業者ばかり。そういや「右腕売れ!」とかも言われた。内臓売れとかなら分かるけど右腕を持っていってどうする気なのか、ちゃんとくっつくのか、その辺が疑問です。

まるで倦怠期のマンネリカップルのごとくそういった業者との脅し文句の応酬に嫌気が差し、早く次なるステージに移りたい、新しい世界に発展したい、カップルで言うところの長い交際の果てに「結婚」を意識しだすような感覚を覚えだしていたのです。

そこにきてこの訴状ですよ。もう、なんていうか、ここまでやってくれる業者が現れたか、やってくれるじゃねえか、オラ、ワクワクしてきたぞ!といった抑えられない衝動というかなんというか、とにかく面倒くさいなって気持ちもありましたけどその反面で心ときめかせている自分がいたのです。

何故かニヤニヤしてしまう自分がいたのですけど、とにかく訴状を開きます。するとまあ、中には思いっきり訴状が入ってるんですけど、その訴状がまたすごい。

なんでも、ある会社の有料コンテンツ(出会い系サイト)の利用料金を支払え、その金額は380,000円だ!というもので、ちょっと0の数が多くて目が眩みそうなので字面で表しますけど、38万円と訴訟費用を支払え!というものでした。ビックリした。

あのですね、言いたかないですけど、どこの世界に38万円も出会い系サイトを利用するバカがいますか。38万円ですよ、38万円、ドルに直すと3400ドルくらい、ハイパーインフレに悩むジンバブエのジンバブエドルに直すと2兆6000億ZWDくらいですよ。そんなにやってたら大きい病院に入れられます。

しかしながら、訴状の文面って物凄いもので、今回の場合は謂れのない38万円という金額を請求されているわけなんですけど、訴状の書き出しってもうすごいですよ。

「被告(以下「甲」)は○○○サービス利用料金38万円を原告(以下「乙」)に支払え。」

ですからね。支払え、ですよ、支払え。普通お手紙ってもっとこうジャブ程度の時候の挨拶とかから入るんじゃないんですか。4月だったら「春の日差しが心地よい毎日でございますが…」とかなんとか、そいでもって徐々に核心に迫っていって「38万円の支払いを…」ってくるもんじゃないですか。そういうのがあるとこっちも心安らぐのに、いきなり「支払え」ですからね。むちゃくちゃ恐ろしいわ。もっと言い方ってもんがあるだろ。

僕はですね、自慢じゃないですけど家賃とか電気代とか滞納しまくりですよ。これって払わなきゃいけないお金で、滞納している僕の方が100%悪いのは当たり前なんですけど、それでも支払えって督促は時候の挨拶から入ってますよ。それなのに、何の謂れもない、支払う必要すらない架空請求に基づく請求でコレですよ。盗人猛々しいとはよく言ったものです。

とにかく、訴状の文面ってどっかのテキストサイトかって思うほどに長くてですね、その支払えの続きには延々と、いかにして僕が38万円支払わなかったか、どんだけ迷惑しているか、みたいな恨み辛みがぐおーって書いてあるんですよ。これ読んでたらなんだか僕のことすごい悪者に思えてきましたからね。とんでもないことです。で、その後には添付資料として全く身に覚えのないアクセスログとか書いた覚えのない契約書みたいなのがくっついてました。なかなか香ばしいことしてくれるじゃないか。

どれどれ、こんなファンキーなことしてくれる詐欺業者ってのはどこですかいな、って感じで原告というか、訴えた会社の名前を見てみますと、そこには○○○サービスという名前が。ああ、あの業者かと思い出したのでした。

確か4ヶ月くらい前の出来事だったと思います。ちょうどその日はたまたま大きな書店にいきましたね、レジのバイト店員が清楚なお嬢様風でしてね、発奮した僕は一番エグそうな表紙のエロ本を購入して大満足で家に帰ったんです。清楚な店員さんがオドオドしていてかわいかった。

でまあ、カワイイ店員を辱めて大興奮できるし、家に帰ってから読んで大興奮だしで一粒で二度美味しいですな、ガハハハハ、と大威張りで読んでたんですわ。丁度その日買ったのがいわゆる漫画系のエロ本でして、エロいイラストが溢れていて大変興奮するかと思われたのですが、なぜか全編に渡って「ふたなり」物のエロマンガという異常事態。

ふたなり-半陰陽や両性具有といった言葉の婉曲表現として「ふたなり」という表現が使用されることが多く、登場人物の特性としてもジャンルそのものとしても用いられる。漫画やゲームの世界では、両方の性器が正常に機能する、完全な両性具有として描かれることが多い。また、その性器の配置に関しては作家によって差異はあるものの、男性もしくは女性のどちらとも言えない形にすることが多い。ただし、性格は女性であることが非常に多い。さらに体質として、絶倫、巨根(極端なケースではオートフェラチオなどができるほどの大きさの場合も)、稀に性器自体が柔軟、性器が複数ある(複根)、精液の量が異様に多いというケースもある。(Wikipediaより)

つまりまあ、何故か男性器も女性器も両方持っている男の子か女の子みたいなのがエロいことされてしまうというとんでもないジャンルのエロマンガです。このジャンルを使うと、女の子みたいな顔してカワイイのに途方もない巨根の持ち主で、あらあら、カワイイ顔してビンビンにしちゃってとかなじられたり、入れられながらしごかれる、みたいなアクロバティックなことが可能になるのです。

知らなかったとはいえとんでもないジャンルのエロマンガを買ってきてしまった、と気が動転すること風の如しなのですが、よくよく見ると結構興奮するんですよね。「ふたなり」って性的に倒錯した世界じゃないですか。最初はうわーって思ったんですけど、次第にそういった異常さが良くなってきて、大好きな大塚愛さんも「ふたなり」で、逞しい男根が!とか次第にその世界へと引き込まれていったんです。

そこに着信ですよ。まるで異常な世界へ堕ちていかんとする僕を呼び戻すかのように携帯電話が鳴りました。ハッと我に帰った僕は携帯電話の画面を見ます。見ると、そこには見たこともない番号が表示されていました。

「もしもし」

「もしもし、○○さんですか?」

おそるおそる出ると聞いたことない声で僕の名前を言ってました。

「あ、はい、そうですけど」

「こちらは出会い系サイト○○を運営する○○○サービスの物ですけど、○○様がご利用になった利用料金が支払われておりません」

「そうでっか」

みたいなやり取りがあったんですよ。まあ、この辺は手馴れたもので普通にノラリクラリとかわしていたんですけど、どうやら相手はいつになく本気の様子。

「支払われていただけないならご実家の方に連絡させていただきますけど、○○様(親父の名前)はお父様でしょうか?」

と親父の名前も掴んでるんだぜ!ポケモンゲットだぜ!って感じで自信満々に言ってくるじゃないですか。早くも脅しとはなかなかやるじゃない。

「はあ、じゃあそっちに連絡してください」

僕としては実家に連絡されてもキチガイ親父が発奮するだけで痛くも痒くもないですから是非ともやって欲しいのですが、ここでなんか色々と倒錯してしまいましてね、早い話がさっきまで見ていたエロ本とこの電話対応が混ざってしまったんです。

「連絡してもらってもいいですけど、その○○(親父の名前)って人、正確にはウチの親父じゃないかもしれませんよ」

「は?どういうことですか?血が繋がってないとかですか?」

「いいえ、血は確実に繋がってますけど、父親と言ってもいいものかどうか」

「どういうことでしょう?」

「ウチの親父、ふたなりなんですよ」

どこの世界に自分の肉親を「ふたなり」呼ばわりするヤツがいるかって話なんですけど、もし「ふあたなり」なら父親なのか母親なのか微妙ですからね。とにかくこの時はコレが正しいんだって確信があった。そう、譲ることの出来ない確固たる信念がっっっ!

冷静に考えて親父が「ふたなり」ってありえないじゃないですか。冷静じゃなくてもありえないじゃないですか。これで業者も真面目に相手されてないことが分かってさぞかし怒り狂うかと思ったのですが

「すいません、失礼ですが「ふたなり」とはどのようなものなのでしょうか?」

と異常に丁寧に聞き返される始末。多分知らないんでしょうね、そりゃあさすがにチンコとマンコが両方ある生物とは夢にも思うまいて。あまりに純粋な返しに逆にこっちが恥ずかしくなったわ。「ふたなり」とか言っちゃう自分の人生を恥じ入った。本当に恥じ入った。

「それはデリケートな問題なので父に直接聞いてください」

たぶん、業者的には「ふたなり」ってのが本当に分からなかったんでしょうね。で、興味あるのは僕と父の関係。もし、「ふたなり」ってのが複雑な親子関係を表す単語であるならば、親父に請求しても払ってもらえない可能性がある。というか請求するぞという脅し自体があまり効果のないものになってしまう可能性がある。それだけに関係を明らかにするキーワード「ふたなり」が気になってしょうがない、そんな感じでした。

その日はそんな感じで請求電話を適当にあしらったのですが、問題は数日後に発生しました。当然の如く親父から電話がかかってきました。

「おい!ふたなりってなんだ!?」

聞いた瞬間思いましたね。ああ、業者のヤツ、本当に親父に電話したんだ。そして「ふたなり」について問いただしたんだ、と。でまあ、ウチの親父も掛け値なしのキチガイですから、良く分かっていないながらも

「お、おう、ふたなりだが」

みたいに返答したみたいなのです。翻訳すると「お、おう、チンコとマンコ両方あるが」ってことです。まあ、頭おかしいですわな。分からないのに肯定するな。で、そんな感じでやりとりがあって、結局、払わないの一点張りだったようなのですが、そのやり取りを終えて「ふたなり」ってのが妙に気になって僕に電話してきたようなのです。

「ふたなりってのはね、エロマンガに出てくるキャラで、チンコとマンコが両方あるんだよ」

と優しく諭すように教えてあげたところ、親父は妙に気に入ったらしく

「ワシ、今日からふたなりになるわ」 とか訳の分からないこと言ってました。

そんな「ふたなり」を交えた熾烈なやり取りを行った業者、あのまま諦めてくれたかと思ったのですが4ヶ月という時を経て訴訟を起こすという作戦にでたようです。なかなかやるじゃないか。

さて、こういった架空請求で訴状を送りつけられてしまった場合、どのように対処したら良いでしょうか。普通の架空請求なら無視しておけば相手がそのうち諦めます。暇ならばからかって遊ぶのも良いでしょう。しかし、訴訟まで起こされるとそういうわけにはいきません。

これは訴訟ですので、完全に無視を決め込んでいると相手、つまり業者側の言い分どおりに判決が出てしまいます。つまり、身に覚えもないのに38万円支払えってことになるのです。それでも払わないでいると業者側は強制執行をする権利を得ますので、給料を差し押さえられたりとか大変なことになってしまいます。

さて、ということで給料を差し押さえられてはかないませんので何かしらの対応をしなければならないのですが、そこで落ち着いて封書の中身を見てみると、そこには期日を記した呼び出し状みたいなのが入ってます。つまり訴えに対して話し合うからこの日に裁判所に来てください、というお誘いです。そこで相手方業者と対決するわけですね。

しかし、その期日も当たり前ですが思いっきり平日でしたし、場所も福岡簡易裁判所ということで当たり前に福岡です。仕事を休んで行っても良かったのですが、さすがに福岡まで車で5時間くらいかかりますんで、どうしたもんかなーなどと思っていたのです。

すると、封書の中には「答弁書」と書かれた書類が入っています。これが遠くて行けない人とかのために用意された物でして、「この訴えはおかしい」などと反論するための書類なのです。これを指定された期日までに裁判所に送付すれば一応は異議を唱えたことになるのです。まあ、書き方もそんなに難しくないし、素人でも普通に書けます。

本当は自分としましても颯爽と福岡まで行って、業者とか裁判所の人を目の前にして熱く「ふたなり」について熱く語りたかったのですが、面倒なので答弁書を郵送で送ってやろう、と考えていたのです。

さて、それから数週間、日記にテレビゲームにと忙しい日々を送る僕はフッとカレンダーを見たのです。おお、もう○月○日か、月日が流れるのは早いものだ、とか思いながらボーっと見てると、○月○日という日付が妙に気になる、なんか物凄い気になって仕方ない。絶対に何かあったはず。何かあったはず。そこで思い出したんですよ。

答弁書の提出期限、今日までだった。

うおおおお、間に合わねええええ、絶対に間に合わない。今日急いで答弁書を作成して速達で郵送したとしても到着は明日になります。明らかに間に合わない。急いで裁判所に電話します。

「すいません、答弁書出すの忘れてました」

もうね、小学生ですか。算数のドリル忘れた小学生ですか。でも、こんな僕にも裁判所の人は優しく対応してくださいましてね、とにかく相手の業者と話し合ってみてはいかがでしょうか、みたいに提案してくださったんですよ。

そこで、まっこと不本意ですが、訴状に書かれた相手の業者に電話して話し合いを試みてみます。

「すいません、オタクに訴訟を起こされている○○ですが」

みたいな感じで妙に強気になって電話してみました。

「はい、担当に変わります」

大抵、こういう場合は担当に変わるとランチ代わりに人でも殺してそうな恐ろしい声をしたオッサンが出てくるのですが、何故か優しい色男風の爽やかな声をした担当が出てきました。

「あのですね、オタクの訴状に対して意義があるわけなんですよ」

この辺は使った使わないの水掛け論になるのは不毛ですので、単純に意義があるとだけ伝えます。

「ということは、法廷で争うということでしょうか?」

「いやー、争うも何も、平日に福岡まで行くのはキツイですって」

みたいなやりとり。いやー相手が怖い声じゃないって素晴らしい。伸び伸びと交渉できる。なんて晴れやかな気持ちなんだ。

「ということは答弁書で異議申し立てということでしょうか」

さあ、いよいよ核心に迫ってまいりました。ここは何も隠すことなく正直に伝えましょう。

「でも、答弁書の締切りって今日までじゃないですか。出すの忘れていたんですよ」

これには相手も絶句。っていうかちょっと笑ってた。そりゃそうですよ、だって裁判の期日に裁判所まで行けない、答弁書も出していない、これはもう自分らの架空請求に沿って判決が出るのが確定的ですからね。こっちの負け確定。業者大儲けですよ。

まあ、本当はまだ色々と手段はあって、完全に負けてるわけじゃない、っていうか普通に支払わなくて済むんですけど、その辺はまあ、すっごい焦った方が面白いじゃないですか。業者の対応が面白そうじゃないですか。なんとかしてくれないかと懇願してみます。

と、ここまで書いたところで、キリがいいので後編につづく。

後編予告
「裁判やったるわカス!」「今から福岡いったるわ!」「このふたなり!」「ふたなりになるにはモロッコいけば手術してくれるのか?」(親父)
怒号が飛び交う最終決戦。バトルフィールドを裁判所に移して熱き戦いが始まる!

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