オナッセイ大賞ノミネートNo.1「無題」

オナッセイ大賞ノミネートNo.1「無題」

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僕の名前は前田Q太郎。春から一人東京での生活がはじまる。出発の日の前日、普段めったに開けない押し入れを開けてみると懐かしいものを見つけた。
「…これ、俺の宝箱だ…」びー玉や折り紙、パチンコや車の形の消しゴム、どれもこ れも懐かしく、一つ見るたび幼い頃の自分を思い出した。すると一番下から真ん中に くまの絵の描かれた四角い2つつなぎの袋が出てきた。「これコンドームだ」そのコンドームをくれたのは忘れもしない、8年前に他界したQ太郎の祖母つねである。中学生のころの僕はかなりのオナニーフリークだった。しかも僕は己の快感を最優先に考えてしまい、ティッシュにうまくだすことが出来なかった。
「Q太郎!またリビングでオナニーなんかして!あなたはまだティッシュにうまく出せないんだからお風呂でしなさい!」
そのことで母親に怒られるなんてしょっちゅうだった。そんな僕をいつも守ってくれたのがつねである。
「この子だって好きでティッシュに出さないわけじゃないよ。まだ子供だから仕方ないじゃいか」
「もう、またお義母さんたら。いつまでも甘やかさないでください!」
しかし反抗期の僕にはそんな祖母さえうっとおしく思えた。そしてある日、ついに僕はキレてしまった。
「うれせぇ!ババア!余計なこと言ってんなよ!だいたいばぁーちゃんもそんなに俺をかばうなよ!なんのおせっかいだよ!!」
自分でも最低なことをしているとわかっていた。でも自分を抑えることができなかった。あのときの祖母の淋しそうな横顔は今でも忘れない。その日の夜、一人で部屋にいるとつねがやってきた。「Qちゃんごめんね。」……泣いてる。「今までおばぁちゃんすごいお節介だったね。これからはもうなんにも言わないから、だから、だからおばぁちゃんのことキライにはならないでね。ごめんね。…あと、やっぱりお節介かもしれないけどこれ使ったらティッシュなくても大丈夫だから。くまさんのコンドーム。良かったら使ってね。じゃあもうおはぁちゃん寝るね。おやすみQちゃん」俺は泣いてる祖母に衝撃を受けて恥ずかしくてなんにも言えなかった。ただただ祖母を泣かせてしまったことがショックだった。
それから半年後、キチンとあやまりもしないまま、祖母は急に亡くなった。
「ばぁちゃん、あんときはごめんな。俺実はあのコンドーム使って一晩に3回もオナニーしたんだ。すげぇありがたかったんだけどあんときは照れ臭くて。今ではちゃんと俺ティッシュに出せるよ?床にこぼしたりしなくなったよ?だから、だからありがとうおばぁちゃん。今でも大好きだよ」
気が付くと涙が流れていた。
「よし、今日はひさびさにゴムつけてするか」
外には雪が降り始めている。

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