ゴールドメンバー

ゴールドメンバー

Date: 2003/03/28

先週始めの話になりますが、熊本出張に行ってまいりました。新幹線と特急列車を乗り継いで火の国熊本へ。

しかも今回の出張のメンバーは、我が職場から僕、上司、ヘルスズキ、B子という有り得ないメンバー。ある意味Numeri日記オールスターズ、ゴールドメンバーでございました(当人達はNumeriでネタにされてるとは露も知りません)。このゴールドメンバーの詳細をご存じない方のためにザラッと説明しますと

上司-patoさん直属の上司。不味いラーメン屋を見つける天才。インクジェットのプリンターは信頼しないという意味不明の信仰を頑なに守っている。髪型は七三分けだが、八二分けになっているときは怒っていると捉えてよい。齢50を越えながら隠れあややファン(Numeri辞典第3版より)

ヘルスズキ-鈴木君。三度の飯よりヘルス好き。鈴木君を可愛がってくれたおじいちゃんが病院で死の淵をさまよっていた時も、ヘルスで女の子にティンポをチュッパチャップスしてもらっていたという伝説の持ち主。B子とは恋仲だが、隠れてコソコソとヘルスに行っているらしい(Numeri辞典第3版より)

B子-女性でありながら、男よりマッチョな肉体美を誇るクロマニョン一歩手前の事務員さん。アゴがスタンハンセンのみたいになってる。毎週月曜日は意味不明にセクシャルな服装をしていることから、職場では魔の月曜日などとコソコソ言われている。毎日ヘルスズキに弁当を作るという家庭的な一面も。(Numeri辞典第3版より)

とまあこんなメンバーのなかに僕は放り込まれ、これから始まる熊本出張に一抹の不安を覚えながら電車へと乗ったのでした。

集合はJR広島駅新幹線ホーム。

異様に早起きをしてしまった僕は、バリッとスーツに身を包みホームの端にある喫煙所でタバコを吸っておりました。

すると、ホームのすげえ向こう側から歩いてくる体躯の良い女性が。何百メートルも先から、大勢の人の中に紛れて歩いてくるというのに、一目で分かる。そう、あれはB子に違いない。

「おはようございます、patoさん早いですねー」

と言うB子は、熊本出張でテンションが上がってるのか、心の中がスパークしてるのか知らないけど、いつもより5割り増しで化粧が濃い。アイシャドウなんか毒を持った蝶みたいになってる。見るに耐えない。

「あ、うん。ちょっと早起きしたから」

などと気のない返事をすると、

「またまたー、旅に出る興奮で眠れなかったんじゃないですか?子供みたいですね。かわいいー」

などと、テメエは旅に出る興奮で寝付けず、興奮をおさめようと近所の野良犬相手に狩猟をしてたんじゃねえのか?と言い返したくなるほど舞い上がったセリフを吐いておりました。

そこに、

「おはよー」

とか、かなり低血圧気味にテンション低めでヘルスズキが登場。B子のステディであるところのヘルスズキ登場。多分、昨晩もヘルスに行って精気を抜かれてきたのだと思う。それか、ヘルスで出てきた娘がハズレで、異常にガックリきてテンションが低めなのか。どちらにせよ、昨晩ヘルスに行ったのは間違いない。

「すっ、すっ、すっ、鈴木君、おはよー」

とB子は僕に対する時よりも少しトーンを上げて鈴木君に朝の挨拶。

「もうー、昨日電話したのに何で出なかったの?」

と甘えた声で言うB子。ハッキリ言うと、こんなB子見たくない。

「ああ、疲れて寝てたよ、昨日は」

と答えるヘルスズキ。ヘルスに行ってたのは間違いないんだけど、B子にバレると大変な騒ぎになるから「寝てた」と言う鈴木。なんというか、恋する男とその女の美学を見た気がする。

でまあ、しばらくして偉そうに上司がやってきて、いよいよ熊本へ向けて出発とばかりに新幹線へと乗り込みました。

とりあえず、熊本に行くルートとしては、新幹線で福岡は博多まで行き、そこで特急列車に乗り換えて熊本に行くといった感じになります。

新幹線は異様に混みあっており、僕らはバラバラの席に座ることを余儀なくされた状態に。こんなゴールドメンバーで固まって座席に座るとかは考えられないので、内心ホッとしながら離れた場所に座り、大好きなゴシップ誌を読みふけっているうちに博多に到着しました。ホント、早いね、新幹線ってやつは。

でまあ、博多駅で乗り換え、特急つばめとかいうヤツに乗って熊本を目指すわけなんですが、こっちはガラガラなんですよ。博多駅が始発駅ってこともあるんだろうけど、見事に車内がガラガラ。

そうなるとさ、このゴールドメンバーで固まって座るしかないじゃない。有り得ない話で、死ぬほど嫌なんだけど、離れて座るのは不自然じゃない。

しかもさ、上司のバカが「椅子をクルッとまわして座りたいな」とか言い出す暴挙に。

この列車は、二人がけの椅子が両側にズラッと同じ方向に向かって並んでいるのですが、それだと2対2で座ったりしなきゃいけないじゃないですか。固まって座ってても、そうやって2対2に分かれて座ったら心がはなれているみたいじゃないですか。

そういうのは寂しいから、片方の椅子をクルッと回してですね、ボックス席みたいにして4人で座りたいとか言い出しやがるんですよ、上司のバカが。

もうね、勘弁願いたい。「テメエが回れやー、がはははは」とか言いながら、上司が座った椅子を残像が残るほどの物凄い勢いで回したい。ホント、このゴールドメンバーでボックス席とか悪夢としか思えない。

それでもまあ、「そうっすね、こっちのほうが仲睦まじい感じが出ますね」とか言いながらガルンと椅子を回してボックス席を作るんだけどな。

それでまあ、有り得ないゴールドメンバーでボックス席。しかも僕の隣は上司で対面ではB子が微笑んでいるという四面楚歌としか思えない状態で列車は動き出す。

しかも、B子のヤツ、何気に九州マニアらしく、沿線の景色を見ながら喋る喋る。沿線の街に関する薀蓄を、九官鳥が九匹くらいいるんじゃねえというぐらい勢いで。ツバが僕に向かって飛んでるってば。

でまあ、B子の熱烈九州トークに加えて、隣では負けじと上司が九州トーク。

「鳥栖っていう街はね・・・」

「大牟田ってのは名産は・・・」

なんか、上司もB子も異様に負けず嫌いらしく、負けるもんかと「ちょっとお得、九州雑学」を僕に対して喋りかけてくるんですよ。何がそこまで彼らを九州トークに駆り立てるのか。

でもう、唇が飛んできそうな勢いで九州トークを喋るB子と上司に、すっかり生気を吸収された僕。もう死にそう、とか思って斜め前の鈴木を見ると「ヘルスいきてえ、熊本のヘルスいきてえ」って目をしてました。

そんな悲喜こもごもの、むしろ悲悲ばかりの人間模様を抱えつつ、特急ツバメは熊本へと向かっていくわけです。

一時間後、随分と熊本に近づきましたが、それでもまだまだ続く上司とB子の九州トーク。こいつらは間違いなく浮かれている。

でまあ僕も、マトモに彼らの話を聞いていては精神が崩壊しそうなので「うんうん、ほうほう」とか適当に相槌を打ちながら、頭の中では、B子と上司をトイレに行った隙にネクタイで絞め殺してトイレに放置。「特急ツバメ号殺人事件-殺されたゴーレム女に初老の男、秘められたアリバイトリック、そして死の逃避行-」で二時間ぐらいのサスペンスドラマが作れるな、などと現実逃避していました。

そうこうしているうちに、特急ツバメ号は熊本の街へと吸い込まれていき、いよいよ到着するかという雰囲気になってまいりました。そこで車内アナウンスが

「まもなく熊本です。熊本ではなんといっても熊本ラーメン、その味わい深いスープは・・・・」

などと「熊本ラーメン」をPRする放送が。

バカバカ!こんな上司が同行している場面でラーメンのPRなんかするんじゃねえ。俺を殺す気か。JR九州のヤツ、俺を殺す気か。

いやね、ウチの上司ってば不味いラーメン屋を探し当てる天才なのですよ。しかも当人は美味だと言い張るのが性質が悪い。このあまりに迷惑すぎる才能のせいで過去何度と煮え湯を飲まされたことか。

でまあ、案の定上司のヤツ。

「ほう、熊本ラーメンか。ちょうどいい、到着したら食べるか」

とか、僕にとって死の宣告ともとれる発言を。しかもB子やヘルスズキはその発言の恐ろしさを知らないものだから「あ、いいですね」とかエビス顔だしよ。「お前ら、上司が選ぶラーメンを舐めてると死ぬことになるよ、食べる前に心臓叩いておけ」と忠告したい気分だったね。

でまあ、熊本駅に到着し、タクシーで出張先の企業に向かう道すがら、上司はラーメン屋を探して行きます。その不味いラーメン屋レーダーを駆使して探していきます。

「よし、ここにしよう、なんだか美味しそうだ」

と言って上司が選んだ店は見るからに不味そうな雰囲気。

それでまあ、運ばれてくるラーメンがお決まりのように不味い。生命の危機ってほどじゃないけど、なかなかの不味さ。やっぱり上司は不味いラーメン屋見つける天才だよな、とか思って見るんだけど、当の本人はウマウマとラーメンをすすっている。しかも、B子もヘルスズキも普通に食べてるし。なんていうか、僕だけ味覚がおかしいのかな?とか疑問に思っちゃうけど、絵は出さないまでも「こんなラーメンが食えるかっ!」と三人に向かってバシャっとやりたい気分。

そんな嫌がらせとしか思えないラーメンを食べ終え、店を出ようとすると「勘定は別々で」とか上司のヤロウがレジで言ってやがります。給料たんまりもらってるんだからラーメンぐらい奢れよな、と思いながらレジに並ぶ僕達。

上司は上司でキッチリと自分のラーメン代だけを払っています。

「ただいま、サービス期間ですので、このサービス券をお渡ししています。10枚貯めると1杯サービスですから」

とか言って、チープなサービス券みたいなのを手渡そうとするレジの店員。それを受けて上司のヤロウ

「いや、いらないです。二度と来ませんから」

おいおい、気持ちは分かるけどさ、言い方ってものがあるだろうに。そりゃね、僕らは出張で遠く離れた熊本の街に来てるよ。そう何度も頻繁に来れるような場所じゃないよ、熊本は。多分、このラーメン屋にも二度と来ないと思うよ。

僕らはよそ者です、だからサービス券を貰っても無駄なのでいらないですよってニュアンスを伝えたかったのだと思うんですけど、さすがに「二度と来ませんから」はないだろうに。もうちょっと言い方ってものがあるだろうに。

しかもそれに続いたB子とヘルスズキ、それぞれのラーメン代を払いながら

「ワタシももう来ませんからいいです」

「もう来ないから」

と、ぶっきらぼうにサービス券を断ってました。ここまで続くと、何か不手際があったのだろうか、よほど味が気に入らなかったのだろうか、と店員さん凹んでた。厨房にいた料理人さんも泣きそうな顔になってた。

さすがに余りにも可哀想だったので

「僕はまた来ます。美味しかったですよ」

と、明らかに嘘8000なことを言ってサービス券を頂きました。明らかに僕の口には合わないラーメンを出すラーメン屋、ゼッタイに10枚貯まらないサービス券を手に店を出るのでした。

店を出ると、

「そんなサービス券もらってどうするんよ?」

と、ヘルスズキが不適に笑いながら近づいてきました。そしてB子に隠れながらコソコソと

「やっぱサービス券ならコレだぜ」

などと僕に何やら名刺のようなものを渡してきました。

「コレ、俺の行きつけのヘルスのサービス券。プレイが終わった後に女の子から店の名刺貰うんだけど、それが次回からはサービス券になるんだぜ。それあげるから今度行ってみろよ」

とか言ってました。見ると確かに「ファッションヘルス○○ 次回2000円割引」という文字と共に、やっぱり名刺ですから「スズキさんへ、今日は来てくれてありがとう。また今度もヨロシクね、今度はすごいサービスしちゃう。待ってるから(はーと) まり」とか頭の悪そうなピンクの丸文字で書かれてました。コイツは、こんな熊本の街に来てもヘルスのことしか考えられないようです。

でまあ、その後は相手先の企業に赴き、プレゼンをしたり話を聞いたり見学したりと有意義に出張業務をこなしました。

その後は、上司は次の日も熊本で予定があるため宿泊。僕ら3人は別に予定もないので日帰りで帰宅ということになり、熊本駅で上司と別れました。

夕暮れの熊本の街に別れを告げ、朝乗ってきた特急ツバメに乗り込むと、やっとこさ上司から開放された喜びでいっぱいでございました。

しかしながら、まだまだヘルスズキとB子が残っています。しかもこのクリーチャーカップル、上司がいなくなった途端にイチャイチャイチャイチャ。特急ツバメの中で見苦しいほどの愛情表現を見せつけてくるのですよ。もう、電車の中でハメ撮りとかしちゃうんじゃねえの?ってほどにベロベロに愛の短歌を詠みあげておりました。

ボックス席の向かいで繰り広げられる見苦しいまでの愛欲劇場を見ながら「博多までの我慢、博多までの我慢」と心の中で連呼。いやいや、B子とヘルスズキのヤツは広島まで帰ることになっていたのですよ。二人で広島に帰り、4畳半の部屋かなんかで悶え狂うかのようにおセックスとかすると思うのですが、僕は広島まで帰らないことになっていたのですよ。

九州に来たついでですから、博多で降りて福岡で行われるオフ会に参加することになっていたのですよ。だから、性の虜となっている全身性器と言わんばかりの獣カップルとは博多でお別れ。

「我慢だ、我慢だぞ、あと2駅、我慢だぞ、もう少しで博多だ、頑張れ」

と自分を励ましながら博多へと向かったのです。

博多に到着し、新幹線に乗り換えるために降りた獣カップルと改札付近でお別れ。

「ヘルスとか行くなよ」

と空しくこだまするヘルスズキの声を背に受けて彼らと別れたのです。

あまりにも獣カップルの絡み合いが見ていて不快だったものですから、熊本のラーメン屋の前でヘルスズキから貰ったヘルスの割引券、「ファッションヘルス○○ 次回2000円割引」という名刺、「スズキさんへ、今日は来てくれてありがとう。また今度もヨロシクね、今度はすごいサービスしちゃう。待ってるから(はーと) まり」とか頭の悪そうなピンクの丸文字で書かれているヘルスの名刺を、隙を見てB子のヴィトンだかバトンだかいうバックの中にコッソリと忍ばせておきました。

「スズキさんへ」と名指しで書かれたヘルスの名刺。それを見てB子は烈火の如く怒るに違いない。まさに火を見るように怒るに違いない。

「さすが火の国熊本だぜ、B子も火のように燃え盛って怒るに違いない」と含み笑いをしながら熊本の街へと消えていくのでした。

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