東京

東京

Date: 2003/03/23

というわけで、今は出張で東京にやってきています。なんかプレゼントか、上司とかB子とかが帝都にやってきていてワケが分からないのですが、とにかく出張時恒例の過去ログサルベージで手抜き更新。

過去ログサルベージ(2002年、1月リアルタイム更新より)

学園物のマンガなどでもネタに困ると必ずといってよいほど、 次回○○は、「謎の転校生現るの巻」 などといって話を展開させ、大概とんでもない転校生がやって来て、 クラス中がおおわらわ。などといった展開があり、 次週を見なくとも話の展開が予想できてしまう場合がある。

けれども現実の世界には、至極当たり前なんだけど、僕らと同じフツーの子供がやって来て、フツーに学校生活を過ごしてい く。 別に転校生が大暴れしてクラス中ハチャメチャってわけではない。 しかし、たった一人だけ、クラス中をハチャメチャにした転校生が存在 した。

ヤツは本当に謎めいた存在で、まさしく「謎の転校生現るの巻!」とい った感じだった。ハチャメチャどころかクラス中をメチャメチャにしたやつだった。今回はそんな思い出について語っていきたいと思う。

小学三年生ぐらいだった時の話。 イキナリなんの前触れもなく転校生が我がクラスにやってきた。 普通、転校生ってのは、最初は大人しい感じで控えめな態度をとる子が多い。次第にクラスの人間に打ち解けていくうちに本来の性格を前面に出していく、こうして転校生はクラスに打ち解けていくもんだ。

しかし、ヤツは違っていた。ヤツの名は岩田とんでもないゴツイ体格と、全開バリバリの図々しさを持つ異色の転校生だった。最初は物珍しさからか、話の内容が面白かったのか分からないが、 彼はクラスの中心的存在になり一気にスターダムにのし上がった。

転校生としては異例の快挙である。 しかし、数日もすれば彼のメッキは剥がれ落ち、逆にクラス一の嫌われ者に成り下がっていた。 この激しい没落も転校生としては異例である。では、なぜ彼はここまで没落したのだろうか?原因は彼の振る舞いにあった。彼はとんでもなくスパイシーな嘘をつきまくるウソツキ野郎だったのだ。

彼が来た当初は、彼の嘘により民衆は踊らされ、舞い上がった。人気も 急上昇だ。しかし、次第に嘘はばれていく。彼は嘘を隠すため、また嘘をつく。このくり返しで一気に嫌われ者に成り下がってしまった。クラスメイト達は皮肉をこめて彼を「ウソツキイワタ」と呼ぶのだった。

もはや彼が何を言っても皆は信じなかった。相手にしなかった。 それを寂しく思ったイワタは、気を引こうとさらに魅惑的な嘘をつくこの悪循環だった。ウソツキは泥棒のはじまり、とも言う。 それだけ嘘というものは皆に嫌われる。大半のクラスメート達はイワタを忌み嫌っていた。

そんなある日、またイワタが突拍子もないことを言い始めた。

「俺、忍者ハットリ君のファミコンソフト持ってるぜ」

とんでもない嘘である。 彼がファミコンをもってるのかどうこうと言ってるわけではなく、 その当時、「忍者ハットリ君」のファミコンソフト自体が発売されてい なく、存在するものではなかったのだ。 まあ、「発売するらしい」という情報は飛び交っていて、ファミコン雑 誌などでも取り上げられていたことはあったのだが、どちらにせよイワタ が持っているはずはないのだ。 もう、140%嘘といった勢いだ。

発売前のソフトを本当に持ってたら凄いことなのだが、誰も彼の話に聞 く耳を持たない。 しかし、世の中にはとことんお人好しな人間が存在する。騙されても騙されても、イワタを信じつづけた男がいた。 クラスの委員長である。委員長という役職は桁外れにお人好しでなければ務まらないのだろうか 、と思うほどに彼は人がよかった。

無軌道に嘘をつくイワタの情報に何度となく振り回された委員長であったが、イワタを憎むでもなく、ただただ笑顔だった。 そして何度となく騙されつづけていた。 今回も委員長はイワタのハットリ君のソフトを持っているという話を、

「本当に!?スゴイ!!やらせてよ!!」

などと目を輝かせて聞き入っていた。 なんともお人好しの塊のような人だ。

「お願いだから、一回でいいからやらせてよ」

委員長はイワタに土下座でもしそうな勢いで頼みこんでいた。 僕はそんな委員長の姿があまりにも憐れだったので、 そっと近くに行き、

「委員長、そんなの嘘だから信じない方がいいよ」

と、それとなく助言をしておいた。 しかし、委員長は、

「そんんことないよ、イワタ君はハットリ君持ってるんだよ。やらせて もらおうよ!!」

などと純粋に信じているようだった。 これじゃあまるで僕が悪者みたいだ。 もはや何を言っても無駄のようだった。 それからもイワタと僕と委員長で、 ハットリ君のソフトを本当に持っているのか?云々で言い争いになった のだが、結局、放課後三人でイワタの家に検証しに行くということで落 ち着いた。

―――そして放課後。

三人は並んで歩きながらイワタの家へと向かう。 その道中もイワタは魅惑的な嘘で委員長を翻弄しつづける。 この際、ビリーバーになってしまっている委員長はほっといて、僕は何度もイワタを問い詰めた。

「なんで未発売のソフトがおまえの家にあるんだよ?手に入れられる訳 がないだろ」

子供ながらなかなか核心に迫る質問だ。 しかし、イワタは怯むわけでもなく、焦るわけでもなく。

「いや、俺のおじさんバンダイの社長でさ。未発売のソフトとか送って 来るんだよ」

などとサラッと言いやがる。 大体、ハットリ君はバンダイじゃなくてハドソンのソフトじゃねえか。 フツー人間ってのはオドオドしたり目を泳がせたりしながら嘘をつくもんだ。 現に、ウチの弟など嘘をつく際には普段の3倍ぐらいの勢いでまばたきをする。 嘘をつく後ろめたさが仕草にでるのだろう。 しかし、イワタにはまったくそれがなかった。平然と、サラッと、とんでもない嘘をつきやがる。 そこが怖いのだ。 こっちまで信じてしまいそうな雰囲気になってくる。

そんなこんなでイワタの家に到着。 こういったら失礼なのは分かっているのだが、 とてもバンダイ社長の親族が住んでいるとは思えない、小汚い長屋だっ た。 その一画にイワタの家はあった。 イワタの家は両親がちょうど留守で、誰もいなかった。 家の中は、特に何もなかった。 座布団と空の一升瓶が転がっている、そんな殺伐とした風景が広がっていた。

言い知れぬ恐怖を第六感で感じた僕は、はやく帰りたいと思った。 早くハットリ君のソフトを確認して帰らねば・・・。 そんな想いが僕を焦らせた。

「おい、ハットリ君はどこにあるんだよ、早く出せよ」

もはや脅しのような口調になっていた。 そして、僕はとんでもない事に気がついてしまったのだ。 この家には、ソフトどころかファミコンの本体がない ファミコンどころかテレビもないのだ。 これはチャンス!!と思った僕は一気に攻勢に転じた。

「おいおい、お前!ハットリ君どころかファミコンもねえじゃねえか! どういうことだ!」

もはや口調は暴力的になりつつある。 しかし、イワタは全く怯む様子もなく、サラッと

「うん、いま本体は親父が仕事に持って行ってるんだ」

おいおい・・。どこの世界に子供のファミコンを仕事に持っていく親父 がいるんだよ・・。

「テレビもねえのにどうやってファミコンやるんだよ!」

さらに攻めたてる。

「あー今日はテレビも親父が持って行っちゃってるなぁー」

などと、さも残念そうに言いやがるのだ。 イワタの親父はファミコン片手にテレビ担いで仕事に行ってるのだろう か・・・。

「ソフトはハットリ君以外、何持ってるんだよ?」

さらに攻めたてた。この時点で僕は、彼がどこまでとんでもない嘘をつくのか楽しむようになっていた。

「うん、数えたことないけど100本は押入れの中に入ってるよ」

100本!?そりゃあスゴイ!是非とも見せてもらいたいものだ。

「ほんとに持ってるのか?見せてみろよ」

それを受けたイワタ、なにやらゴソゴソと押入れの中を漁ります。 どう見ても、押入れの中は空っぽっぽいんだけどね・・・。 しばらく探したイワタ君。振り返ってさも残念そうに

「あ~、カセットも全部親父が持って行っちゃってるなぁー」

また親父かよ・・・。一体どんな親父だよ。 嘘をつくにしてももっとバラエティが欲しいものだ。 そんな僕とイワタとの骨肉の攻防戦を横目に、委員長は、

「早くお父さん帰ってこないかなぁー」

などと、もう目を輝かせながら心ときめかせてるんですよ。 彼の心の中にはソフト100本とファミコン片手にテレビを担いだイワタ親父がいることでしょう。 お人好しにも限度ってものがあります。 なおもイワタを問い詰めるのですが、彼はのらりくらりとかわしながら、台所へと消えていきました。

委員長と二人っきりになった僕は、チャンスとばかりに委員長の説得に かかりました。 あまり人を信じるものではない。 どうみてもイワタは嘘をついている。 しかし、委員長は聞く耳を持ちませんでした。 ここまで人を信じることが出来るなんて、立派を通り越してアホです。 そうこうしていると、イワタが台所から帰ってきました。 手にはよく冷えたビンビールとグラス三つを持って。

これはかなりショックでした。 だって僕達は小学三年生ですよ。 いきなりビールですもの。 どうやらイワタは嘘を誤魔化すため、酒を飲ませてうやむやにしようと いう腹づもりのようです。 とんでもない小学三年生です。

「まあ飲めよ飲めよ、美味しいからさ」

執拗に酒を勧めてきます。 僕はそんな酒を飲むなんて悪いこと絶対にしないぞ!!と頑なに決め 全く口にしなかったのですが、委員長は勧められるままにグビグビ飲んでいました。 その瞬間でした。

「ウイー、今帰ったぞー」

玄関先で声がします。 イワタ親父のご帰宅です。 委員長の期待通りに、ファミコンを持ってテレビを担いでいれば良かったのですが、無論、持っているはずがありません。 それどころか、片手に一升瓶を持ち、足取りはフラフラ。間違いなく酒 乱の親父ってヤツです。

で、帰宅するや否や、小学三年生のくせに酒盛りをしている僕達を見て 大激怒するわけですよ。

「ガキのくせに酒飲みやがってー!!3年早いわー!!」

などと見当違いな怒り方をし、僕と委員長、イワタに殴りかかりました。 イワタは殴られ慣れているらしく、平然と殴られていました。 僕なんかはもう痛くて怖くて・・・。 委員長は殴られながらも、涙ながらに

「ファミコンは持ってないんですか?仕事場に置いてきたんですか?」

などと酒乱の父に聞いておりました。 まだ信じているようである。もはやこの人についてはどうでもいい。逃げなければ殺される。そう直感した僕は、未だハットリ君を諦めることの出来ない委員長を抱え、この修羅場から逃げ出しました。 まさしく命からがらというやつです。

嘘を貫き通すために、さらに嘘をつくイワタ君。 やっぱ嘘ってのは良くない。 さらに、そんなウソツキ野郎を問い詰めるのも良くない。 彼の嘘を助長することになるのだから、 そう感じた事件でした。

うわー、ひでえ文章だな、おい。「何考えて文章書いてるんだ?おい?」と一年前の自分を激しく叱責したい気分。

というわけで、今日はTOKIOの夜を堪能してきます。海軍仕込みのオナニーとかして眠るかもしれん。なんやねん、海軍仕込って。

名前
コメント