知られざる上司の秘密

知られざる上司の秘密

Date: 2003/01/28

「最近の若い者は・・・・」

なんていう言葉がエジプトのピラミッドの中の壁画だかどっかに書いてあるらしい。世代間格差から年長世代が若い世代を揶揄する習慣は、ピラミッドの時代から既にあったようだ。

渋谷センター街でたむろするダボダボの服を着た若者や、まるで乙事主様のような手遅れのメイクをしたヤマンバギャルを見て、お父さん世代が言うような言葉が既にピラミッドの時代には使われていたのだ。何となく壮大なロマンを感じる。

多分、ミラミッドに使う石なんかを運びながら

「最近の若いやつはなっちゃいねえな、なんだあの石の運び方は」

「なんだい、若いヤツラのあのファッションは、ファラオの真似かい?理解できないね」

なんて愚痴をこぼしていたのかもしれません。いつの世も若者と熟年の間には無限の隔たりがあるものなのですね。

それはそうと、僕の身近での世代間の隔たりというと、やはり僕と上司の関係になるわけです。この日記にもたびたび登場する僕と上司の間にも、やはり古代から脈々と流れる世代間格差があるわけです。僕と上司では倍くらい年齢が違いますしね。

おそらく上司なんかは、僕らの姿や生活態度なんかを見て「最近の若いヤツラは・・・ワシらが若い頃はもっと・・・・」なんて思っているに違いないのです。別にそれ自体は仕方のないことだと思います。

上司が若い人間に向けて世代間格差を感じ、「最近の若いヤツラは」なんて思うのは自由だと思うのです。別に思うだけならいくら思ってもらっても構わないですし、心の中で馬鹿にしてもらっても構わないです。でもね、若い世代に自分の理想の若者像ってのを押し付けるのは良くないことだと思うわけなんですよ。

思うにね、彼は自分の理想を若者に強制しているのですよ。鬼のように恐ろしい上司ですから、僕ら若者世代は上司に怯えながら日々過ごしているわけなんです。彼の理想の若者像を無理強いされながら。もう圧迫されて死んじゃいそうなくらいに。

上司は戦後間もない時期の生まれです。B-29から逃げ回って大根の葉っぱを盗んで食べたり、米兵にギブミーチョコレートとか言ってた世代ですよ。もうホントね、物凄く頭の中が古い人なの。

あれくらいの年代の人にとっては、携帯電話ってのが理解できないみたいだからね。いやいや、使い方とかは理解できるだろうけど、若者がこぞって持ち歩いてるのが理解できないみたい。

おまけにメールとかなんか全然理解できないみたいで、そんなもん電話かけて伝えれば済むじゃないか!って怒り出すような人だから。

おまけに、僕ら若い世代が贅沢するのってのが極度に我慢ならないらしくて。職場の飲み会やなんかで居酒屋に行って、コース料理に船盛があるだけで「贅沢だ」とか怒り出すんだから。それから延々と少年時代に食べ物がなかった話ですよ。飲み会も盛り下がる盛り下がる。

いやね、自分の若い頃と照らし合わせて今現在の若者が恵まれすぎてて許せないってのは分かりますよ。世代間の格差を感じて憤慨するのも分かります。でもね、そのたびに説教して正そうってのが分からない。

僕らはやっぱ今の時代にあった生き方をしてるわけで、何も大きく社会から逸脱した行動を取っているわけではないのですよ。上司が過ごした若者時代のように生きる必要はないわけ。街の至る所にマックやら吉牛やコンビニがある時代に、畑から大根盗んで食べる必要なんてないわけですよ。

それを上司は分かてなくて、ことあるごとに説教ですからね。ホント、やってられない。しかも、我が職場では上司による完全なる恐怖支配が完成してますから、皆は上司に恐怖を感じてしまって、今時の若者のように好きに振舞えないわっけなんですよ。

僕も結構、自分よりちょっと若い世代を指して「今時の若者は」とか口癖のように言うけど、それはもう違うものだって理解して言ってる場合が多いからね。でも、上司は理解してないの。自分の周りの若者全てを、自分の理想の形に矯正しようとしてるの。僕なんかホントにそのうち畑から大根盗んで食べさせられてるかもしれない。

しかしまあ、そんな恐怖の大魔王のような上司ですが、先日ちょっと面白い事件がありましてね。今日はそれを報告しようと思います。

最近、やっとの思いでパソコンやらインターネットやらメールの使い方を上司が覚えたんですよ。まさにガッツ石松みたいにして必死で覚えたわけです。それでね、メールってのがいたく気に入ったらしく、ことあるごとにメールを送ってくるのですわ。

朝出勤してパソコンを立ち上げてメールソフトを起動すると、上司から4通ぐらいメールが来てるの。全部仕事上の指示で「こういう書類を作れ」だとか「今日はここに外回りしてください」とかそんな指示なんだけど、それがすごくムチャクチャな時があるの。

「明日までに報告書(100枚くらい)を提出すること」

なんていう、求婚されたかぐや姫より無理難題な要求をメールに書かれた日には徹夜決定ですからね。それと同時に死亡決定です。

僕らの仲間内ではこの上司からのメールを「死のメール」だとか「ブラックメール」だとか読んで忌み嫌っているわけなんです。ホント、横の席に座ってたりして、さっきの携帯電話の話じゃないですけど本当に口で言えば済むのにワザワザメール出してきますからね。で、そのメール出すって行為が上司のマイブームらしくて日に八通くらいくるの。

もうメールチェックするのが怖くて仕方ない。新着メールとかあると恐怖で震える。差出人が「ウンコ上司」(設定でこう変えてます)とかになってると怖くて開けないもの。それでも開かないとこれでもかとメールボムのように送られてくるので、嫌々開くんですけどね。で、大体が途方もない仕事の指示が書いてあるの。

そんなこんなで、受け取ると不幸のメールより不幸になると評判の上司メールなわけですが、先日物凄いハプニングが。

なんか、僕がいつものように仕事をサボって日記だとかを書いてたらですね、メールチェックソフトが「一通の新着メールがあります」とか表示してるの。それを見た瞬間にまず心臓がちょっと止まるね。ハラハラ、どうか差出人が上司じゃありませんように、という願いも空しくメール受信すると「差出人:ウンコ上司」とか表示されてるわけ。

うわっ見たくないもの見ちまった!とか思いながら、また無理難題な要求が書いてあるんだろうな、徹夜するかシカトするかどっちかだよなーと思いながらメールを開くと

差出人:ウンコ上司
受取人:ぱと

タイトル:やっぴー

本文:
やっぴー、今日は早く帰れそうよん。うん、寄り道なんかしないから、真っ直ぐ家に帰るから美味しい夕ご飯用意して待っててね。あ、僕ちゃんカレーが食べたいな。アー、考えてたら早く帰りたくなっちゃった。早く帰っちゃおうかなー。早く帰るかもしれないから楽しみにしててね。愛してる。

いや、なんですかこれ?

こんなメールを僕に送って上司は何を期待してるんですか。僕にカレーを作って待っておけとでも言ってるのでしょうか。それはそれで怖い。死ぬほど怖い。

いやね、どうも上司のやつ、奥さんに向けても狂ったようにメールを打ってるみたいなんですわ。愛のこもったアツアツのメールをですね、職場から妻の待つ家のパソコンに逐次送信。妻に届けこの想いとばかりに送信ですわ。

それを間違って僕に送信。

たぶん、奥さんの名前と僕の名前が、彼のメールソフトのアドレス帳には並んで記されているのだと思います。そいでもって使い方を憶えたとはいえまだまだ初心者な上司。見事に間違って送信しちゃったわけですな。

もうね、このメールを読んだ瞬間から笑いが止まらなくてさ。それでもメール読みながら笑うってのはキチガイみたいな行為だから必死で我慢するんだけど、それでも堪えられないくらい可笑しくて。

だって、僕らにはあんなに威厳ある素振りをしながらワイフには「やっぴー」ですよ。「僕ちゃん」とか言うてるし。そいでもって「愛してる」だもの。威厳もへったくれもないよな。ホント、笑い死ぬかと思った。上司のラブラブメールに殺されるところだった。

あんな威張りくさってる50を超えたオッサンがこのメールを。ぷぷぷ、思い出したらまた笑いがこみ上げてきた。

結局ね、上司は僕らを指して「最近の若い者は」とか言うけど、アンタも十分に若いよと言いたくなるわけですよ。若い僕らでも送らないようなスイートなメールをワイフに、ぷぷぷ。

まあ、今のところこのメールについては僕の胸の中だけにしまってあるので同僚はもちろん知りませんし、上司すらも間違って送信したことに気がついてないでしょう。

でもね、このメールの全文を暗記しておいて、今度上司が「今時の若いもんは」なんて説教を言い出したら声を上げて読み上げてみようかと思います。それが今から楽しみでならない。アンタだって十分に若いよ!とか親指立てて言ってみようかと思います。

結局、僕らやおじさん世代が思ってるほど世代間の格差ってのはないのかもしれません。本質的な部分では若者もオジサンも同じなのかもしれないのです。ただ、過ごしてきた環境が違うだけで。だから、無理に世代間でいがみ合ったり批判しあったりす必要はないんじゃないかな。人類の長い歴史から見たらオッサンも僕らもそれより若い世代も微々たる時間の差でしかないのだから。

だから僕も、「今時の若い者は」だとか「だからオッサンは」などと他世代をむやみに批判するのはやめようかと思います。育った時代の環境が違うだけで、本質的には大差がないんだから。温かい目で見守ろうと思います。

それにしても「今日は早く帰れそうよん」って。ぷぷぷ。

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