雰囲気ダークネス

雰囲気ダークネス

Date: 2002/10/30

えーっとですね、今日はね、銀行に行ったのですよ、銀行に。なんか朝も早くから大家から電話がかかってきましてね、「今日中に家賃を払ってください、さもなくば出て行ってもらいますからっっっ!!!」とかすごい剣幕で怒鳴られちゃってさ。ホント、死ぬかと思ったよ。こんな寒空に身包み剥がされて放り出されたら間違いなく死ぬ。鉄板だね。

というわけでですね、家賃を振り込みに行ったのですよ。銀行にモルモルと振込みしに行ってきたわけ。ここでですね、溜まってる家賃を一気に全額支払ってですね、大家のヤツを見返してやりたい、とか思うわけですよ。「まあ!patoさんもやればできるじゃないの、感動したわ」とか言わしめてやりたい。だけどね、やっぱ全額って厳しいのですよ。

そりゃあね、僕は家賃3万円のオンボロアパート住まい。現代に蘇ったトキワ荘みたいな所に住んでるわけです。家賃なんて精一杯溜めても15万ぐらいですよ。15万ぐらいのはした金、社会人ならポーンと払いたいものです。

いやね、でもね、僕は15万もの家賃を一気には払えない。払いたいのはマウンテンマウンテンなんだけど、やっぱ金ないしさ、払えねえよ。というわけで、なけなしの三万円をプリッと振り込むことにしたのです。これで来月も大家に怒鳴られること確定。

それにしてもATMってのは難しい機械ですね。なんか画面を押して先に進んでいくタッチパネル方式なんですけど、指が太い僕は「1」を押してるつもりなのに「2」とか押されちゃったりするんですよ。それで振込先を間違えちゃって三万円をどぶに捨てたこととかありますからね。なるべくATMとかは使いたくないわけですよ。

で、窓口に行って「すいません振込みしたいのですけど」とか言ったわけよ。やっぱATMではいつ何時間違うか不安だからさ、直接人間に手渡しなら安心安全とか思って窓口の姉ちゃんに話しかけたわけよ。そしたらさ

「振込みでしたらATMで行ってくださいっ!!」

とかキッと睨みつけて言ってくるわけよ。僕は全然悪いことしてなくて、ただただ「手渡しで振込みがしたい、窓口で振込みがしたい」って言ってるだけなのに怒られるんだよ。どうかしてるよ銀行ってやつは。

アレか、お前らは人様から預かった金が大量に金庫に眠ってるからって、もう金持ち気分か。いい気なもんだな。アレか、お前らは万札で尻とか拭いたりするのか。もうね、銀行は潰れろ。全て潰れろ。公的資金注入とか許さないからな。銀行は死ね、七回死ね。

とか怒るのですけど、やっぱり僕はチキンなので泣きながらATMで振り込むわけですよ。もうね、悪戦苦闘しながら振り込むわけ。

てかな、どうして銀行ってのはああも雰囲気が悪いものなのかね。窓口に座ってる姉ちゃんも能面みたいに表情一つ変えないし、背広着た銀行マンも冷徹そうな顔してるし。そいでもって、来てる客も家賃を溜め込んでそうなオタクとか、財テクにご熱心そうなマダムとか今にも首を吊りそうな中小企業のオヤジとか。明らかに雰囲気悪いよね、銀行ってヤツは。金の亡者達が集いし場所って感じで雰囲気悪い。

これじゃあ気分良く振込みなんてできないよ。こういう銀行はね銀行強盗でもされて、追い詰められた犯人がやけっぱちになって篭城し始めて、女子行員全員裸になれとか無茶な要求されて、全員レイプされるがいい。ホモな強盗犯も混じってて、銀行マンも課長も支店長も全員レイプされるがいい。

ホント、雰囲気悪いって最悪だよな。とか思いながら職場へと舞い戻りました。

でね、考えるわけですよ。僕の職場は職場の雰囲気としてはどうなのかって。

やっぱね、明らかに僕なんかはフリーダムで、仕事中だろうがなんだろうが自由に振舞ってるわけですよ。でもね、職場全体の雰囲気として見ると、ちょっと沈痛なムードというか、険悪なムードというか。どう考えても雰囲気が良くないのですよね。

皆は押し黙ってモリモリ仕事をしている。そんな中で僕は遊んでて「ウヒャヒャヒャ」とかパソコンに向って独りで笑ってるわけ。で、他の連中は「うるせぇな」とか思いながらも仕事をしている。なんていうか、沈痛さと狂気が入り混じったような雰囲気なんですよ。明らかに職場の雰囲気としては最悪な訳です。

その元凶はね、どう考えても上司なんですよ。上司がギラギラと目を光らしてるから、みんな追い詰められたかのように仕事をしている。半狂乱みたいな状態で仕事をしているわけなんですよ。もうこれはね、上司による恐怖支配といっても過言ではないのですよ。

良くない、明らかに良くない。

こんな環境で仕事をしてたら、そのうち誰かが狂ってしまうかもしれない。誰かが発狂してしまうかもしれない。それだけは避けなければならない。

どうにかして職場の雰囲気を良くしなければ。さもなくば才能ある若い芽たちが摘まれてしまう。どうにかして良い雰囲気に・・・。と考えたわけですよ。雰囲気を良くするには元凶である上司を殺してしまうのが手っ取り早いのですが、そういうわけにもいきません。

というわけで、僕が一肌脱いだわけなんですよ。職場の雰囲気を良くするべく、皆で和気あいあいと楽しく仕事をするべく、僕はある提案をしたんです。

そう、それは三時のティータイム。別名おやつタイムですよ。

毎日三時になったら、皆でお茶でも飲みながらクッキーでもつまんで和気あいあいと語る。そうすることで職場の雰囲気がどんどんと良いものになる。そう確信したわけなんですよ。

早速上司に提案し、今日から我が職場では三時のティータイムが導入されました。言いだしっぺである僕がクッキーを買いに行き、皆のコーヒーを入れる。そいでもって皆はデスクの周りに輪になって座る。もうね、イギリス貴族みたいなティータイムを過ごしてるわけ。

最初こそはね、皆さん慣れない感じで会話とかも弾まなかったのですけど、そのうち打ち解けてきちゃって、和気あいあいと話をし始めちゃって。もう上司とかも交えて楽しいお喋り会ですよ。そうするとね、仕事の話題だけでなく自然と仕事に関する内容とかにもなってくるわけ。

「あ、あの書類できた?」

「ああ、まだだけど。期限までまだ随分あるだろ」

「あれはね、事務処理が遅いから早めに出したほうがいいんだよ」

「あ、そうなんだ、じゃあ早めに仕上げておくよ、サンキュー」

という風にですね、仕事の話題も円滑に進むわけですよ。ガムシャラに仕事するだけが良いことではなくて、こういった時間を設けて雰囲気を良くすることも大切なんだと思うわけなんですよ。

でね、そうなってくると、すごい涼風みたいな良い雰囲気が出てきて、皆が何となくハッピーな気分になってくる。上司までもがハッピーになってるらしく、いつにもない笑顔で笑ってるの。君たちのような下賎な民でもそんな笑顔ができるんだなって驚きを隠せないよ。

で、気分を良くした上司、いつもはぶっきらぼうに踏ん反り返ってるだけなのに、今日はいつになくトークが弾んでくるわけ。

僕に言わせれば、上司こそが職場の悪い雰囲気の元凶であるので、オマエが笑うなとか怒りたい所なんですよ。でもね、やっぱ良い雰囲気ってのはそういうのも許すことなんだと思うんですよ。だからね「オマエがいなければもっと良い雰囲気なんだがな」とか言いたくても言わずに笑顔で話を聞いてた。物凄い作り笑いで話を聞いてた。

そしたらね、上機嫌になってる彼が途方もないことを言い出すわけ

「B子さん、もう仕事には慣れたかな?」

とか、やはり入りたてのB子さんを気遣って話しかけてるの。B子さんも

「はい、慣れました、ウフフ」

とかキューティクルボイスで言ってるわけ。ゴーレムみたいな顔してからに、物凄い胸板とか厚くて、指毛とかモサモサに生えてるくせにキューティクルに言うわけ。

「困ったことがあったら何でも言いなさい、pato君に」

とか上司が途方もないこと言ってるわけ。飲んでたお茶を噴出しそうになったもんな。そしたらB子さんも

「はい、重い荷物とか運ぶのが・・・ちょっとアレなんで、patoさんに手伝ってもらいますね♪」

とか、これまたキューティクルに言い放つわけ。ヘラクレスみたいな体してからに、オマエに持てない荷物などないだろうに。プラズマテレビでも片手で持ちそうじゃないか、とか思うのですよ。でもね、やっぱ良い雰囲気のティータイムですから

「ええ、いくらでも手伝いますよ、ドンと来い!」

とか僕も言っちゃうわけ。で、ちょっと笑いとか起こっちゃって、益々良い雰囲気になってくるの。するとね、さらに気を良くした上司が言うわけ

「いやー、B子さんを見てるとね、ウチのカミさんの若いころにソックリなんだわ」

とか途方もない新事実をカミングアウト。

ヘラクレスのようなB子さん。岩肌を素手で登りそうなB子さん。ゴーレム似のB子さん。アゴが二つに割れているB子さん。クルミとか握りつぶしそうなB子さん。ワンパクでもいいから逞しく育ってそうなB子さん。ハムとか塊ごと食ってそうなB子さん。そんなB子さんに若いころソックリだったという上司の奥さん。

おいおい、いったいどんな奥さんなんだよ・・・・。

なんだか、その場にいた上司とB子さん以外の全員が、なんだかやるせない気分になってドンヨリとしてしまいました。もうね、雰囲気最悪。僕ちゃん笑いを堪えるので必死。腹がよじれて死ぬかと思った。

結局、上司の独裁恐怖支配が原因で最悪だった職場の雰囲気、それを正そうとはじめたティータイムでしたが、やっぱり上司の一言でドンヨリとした雰囲気になってしまいました。やっぱり元凶は上司だ。

もうね、職場の雰囲気を良くするには、上司を殺すしかねーな。それしか方法はない。

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