合コン事変

合コン事変

Date: 2002/08/02

合コン、それは男と女の出会いの社交場。そこで繰り広げられる骨肉の争いは目を覆うばかりである。あるものは同じ女を取り合い、あるものは実りがないと嘆き、あるものは割り勘要員として呼ばれた自分を恥ずかしく思う。

連夜盛り場で繰り広げられる合コンと言う名のドラマ。それ故、ネタになりやすいのも確かである。今日は、またもや合コンにまつわるお話です。

大学三年生の頃、合コンに誘われました。懇意にしていた4年生の先輩に「人数足りないから合コンに出てくれない?」などと誘われたんです。ハッキリ言って合コンには良い思い出がありません。ブランカのような女性に追いかけられたり(1月の日記参照)、プレデターみたいな女性を押し付けられたり(3月の日記参照)、と自殺物の思い出ばかりをプレゼントされています。ハッキリ言って行きたくない。

けれども、親切にしてくれている先輩の頼みです。誰がこの誘いを断れようか。僕は、仕方なく参加することを決意しました。その瞬間から背筋に悪寒が走り、言い知れぬ不安が僕を包んだのは言うまでもありません。

先輩は笑顔で

「カワイイ女の子ばっかり来るから!お互いに美味しい思いしようぜ!」

ってな感じで、満面のスマイルで親指たてながらジョニーのように言ってました。僕はただただ元気なく「はぁ」などと気のない返事をするのみに留まったのです。

さて、いよいよ合コン当日。待ち合わせ場所に向う僕の足取りも重い。様々な合コンにまつわる忌々しき思い出がフラッシュバックするのです。もうね、待ち合わせ場所に行ってブランカやプレデター級の女性がいたら大暴れしたかった。狂ったように暴れて合コンをぶち壊したかった。でもね、そういうのって先輩の顔を潰す行為ではないですか。どんな状況でも黙ってジッと耐えるしかないのです。なんて過酷な合コンなんだろうか。

とか思うのですけど、さすがに何度もメジャー級の選手が出てくるとは考えにくいんですよね。街を歩いてる女性ってのは皆かわいくて、かわいくない人でもそこまで濃い感じはしないのです。つまりブランカ級の女性ってそうそういるものではないんですよ。あの体験はかなり特異な体験に違いない。運悪く凄いのを引いてしまっただけだと思うんですよ。そう考えると、まさか今回の合コンまでブランカ級の選手が参戦してくるとは思えない。カワイイ子でなくても、せめて普通の子が来て、楽しく過ごせるに違いない。そう思うとなんだか足取りも軽くなってきました。もしかしたら今日の合コンは楽しいかも!うひょひょひょ

などと思いながら、ちょっと遅れ気味に待ち合わせ場所へ。見ると、先輩達男性陣は既に到着してるらしく、皆で談笑しながらタバコを吸ってました。そしてその横には5人の女性がオドオドしつつ立っていたのです。なるほど、もう全員集合してるんだな。

僕は先輩に「遅れちゃいました、すいません」と話しかけます。先輩も「お!来たな。コレで全員集合だ。ちょっと紹介しとくわ」などと僕にとっては初対面となる先輩の友人を紹介してもらいました。今日の合コンの戦友であり敵でもある男たちです。ココだけの話、ドイツもコイツも冴えないツラしてらっしゃいます。こりゃあ今日の合コンは俺の1人勝ちか?などと高笑いですよ。

さらに先輩は続けて女性陣を紹介します。「こちらが○○女子大学の方々」などと紹介され、初めて彼女達5人の顔を眺めました。

・・・・・・なんですかこれ?

ホントに素で先輩に聞きそうになりました。彼女達を指差して「なんですかこれ?」って言いそうになりましたもん。もうすごいの。なんていうか、全員がブランカクラスの一流の方々なんですよ。アレですか?あなた達は、夜は墓場で運動会ですか?

いやね、ここまで読むと「うわっ!patoのやつ見た目で女を判断してやがる、サイテー」とか思う人がいるかもしれません。でもな、ちょっと腹割って話そうや。綺麗事は捨て去って話そうや。いくらな「見た目は気にしない、中身重視」とか言ったってなソレは机上の空論でしかないんだよ。みんなある程度の「これ以上は勘弁」っていう最低ラインを持って生きてるはずなんだよ。確かにな、いくら一目で見てホラーお面つけてるような婦女子の集まりだからって、妖怪の集まりだからって嫌がるのは良くないよ。でもな、彼女達は僕のボーダーラインをはるかに超えてるわけ。洒落にならないほど突破しちゃってるの。そうだったらさ、もう綺麗事はやめてさ「性格が良いなら」とか言うのやめようや。ダメなもんはダメなんだからさ。

で、僕もブランカやプレデターの悪夢がフラッシュバックしだして、足がガクガク震えてきちゃって、先輩にも「先輩、僕だめっす。だめっす」とかヒッソリと懇願するかのように訴えかけてました。でも、先輩は

「ガハハ、だいじょうぶ、だいじょうぶ、さあいこうか!」

などと僕を引っ張るかのようにして会場である居酒屋に連れて行くんです。もう泣きそう。

で、移動する際に、「何かの見間違いかもしれない・・・もう一度見ればそこまで妖怪ってってこともないんじゃ・・・・」などと彼女達を見るんですが、やっぱり妖怪なんです。

しかも、妖怪どもは女の子同士で手を繋ぎながらベタベタして移動してるんです。なんていうか、「私たちは男に興味がないのー」っていうアピールのように女同士でベタベタして歩いてるの。死ね妖怪どもめ。お前らが男に興味あろうがなかろが関係ねぇんだよ。俺は早く帰りてぇぇぇぇんだよ。

居酒屋に到着し、各々の席に座る面々。そこで先輩が提案します。「男女で交互に座ろうよ」とか言うんです。アホかコイツは。オマエはそんなに妖怪と混ざって座りたいのか。両手を妖怪に挟まれて酒を飲みたいのか。俺なんか妖怪に挟まれたら裏返って妖怪になるんじゃないかって心配だよ。

でもやっぱ、先輩の言うことだから逆らえないんですよ。もう座るしかないじゃないですか。妖怪と妖怪の狭間に座るしかないじゃないですか。大人しく座りましたよ。これでもう右を見ても左を見ても、前を見ても妖怪です。ここは妖怪アイランド。早めに酒に酔ってしまうしかない。

乾杯もソコソコに酒を飲みましたよ。もう肝試しみたいなものだって割り切ってグイグイ飲みました。なんておぞましい合コンなんだって思いながら飲んでました。

でもね、見ると先輩も、その友人もみんな楽しそうに飲んで妖怪と談笑してるんですよ。それはそれはジョイフルに談笑ですよ。なんかね、そうなってくると、妖怪妖怪って気にして楽しめないのが自分だけみたいな気分になってくるんですよ。そもそも、彼女達はさほど妖怪ではないのかもしれません。そう見えるのは僕だけ。

大体ね、僕はいつからそんなに偉くなったんだと。いつから合コン相手が妖怪だからって嫌がるほど偉くなったんだと。向こうに取ったら僕だって妖怪みたいなものですよ。それをね、自分だけ不機嫌に飲んでて何様のつもりなんだと。なにが肝試しだ。オマエはいつからそんな大口叩けるようになったんだよ。なんかね、僕はこの妖怪どもと楽しい一時を過ごす必要があるんじゃないかって思い始めましたよ。それがあるべき大人の姿だって思いました。

見た目で異性を判断したっていい。見た目で判断して洒落になってない人を認定しても良い。それは人として仕方のないことだから。でもね、その感情を表に出してムスッとしてるのはよくないんですよ。笑顔で妖怪に接してればいいんです。

それからの僕は違ったね。妖怪に対してもスマイル満点で接した。最高にジョイフルな会話で妖怪を楽しませつつ、気配りを忘れない。そんな最高の合コン戦士としての姿を披露してた。

そいでもって、場が盛り上がってくると、なんか妖怪5人衆が連れ立ってトイレに行くんですよ。きっとトイレで「ねえねえ、誰がいい?」とか妖怪なりに会話してるんだと思います。座席に残されたのは男性陣5人だけですよ。その瞬間でした。

先輩の友人の人が怒り出すんです。先輩に向って憤怒してるんです

「てめー!なんだあの女どもは!何がカワイイ子だー!」

とかあらん限りの勢いで怒ってるんです。もう殴りかかりそうな勢い。さっきまで笑顔で妖怪と談笑してた人が、妖怪が席を外した瞬間に怒りだすんですよ。

しかも、それに触発された他の友人達、俺も俺もとばかりに先輩に怒りをぶつけます。

「なんだアレは、核兵器級じゃねえか」

「俺は待ち合わせ場所で我が目を疑ったぞ」

「俺たちを殺す気か!!」

などと、僕が思ってた以上に罵詈雑言の嵐です。さっきまで笑顔だったのに、あんなに楽しそうだったのに。きっと先輩の友人たちも我慢してたんだろうな思いました。

で、皆に罵声を浴び去られ半泣き状態の先輩。精一杯の言い訳をします。

「だってよ、俺だって彼女達に頼まれて仕方なくさあ・・・かわいくない子が来るって言ったってお前ら来ないだろ」

とか弱々しく言うんです。アレか、俺らは生贄か。と思ったのは僕だけではないようで、友人達は「ふざけるなっ!」「俺はもう帰るっ!」などとツバでも吐き捨てそうな勢いで帰っていきました。

残されたのは僕と先輩のみ。先輩はすっかりしおらしくなっちゃって

「ごめんなぁ・・・・こんな合コンに呼んじゃって・・・・すまんなぁ・・・」

とか言ってました。そこまで言われると僕も悪い気がするではないですか、だから

「いえいえ、楽しいですよ。いい人達ばかりで」

なんて心にもないこと言ってしまいました。それが失敗だった。

それを聞いた先輩は急に笑顔になり

「マジで!?じゃあ後は思えに任せていいかな?実は俺も帰りたくって帰りたくって、彼女達の相手するのはマジでしんどいよ」

とか狂ったこと言ってるんです。

「ちょちょちょちょ、任せるってどういうことですか!?」

焦って僕が聞くと

「ん・・・・俺は帰る」

「かえる?」とか素っ頓狂に繰り返してしまいました。冗談じゃない、なんでお前ら俺を残して帰るんだよ!とか思うんですが、時既に遅く、先輩は笑顔で帰っていきました。明らかに妖怪どもを押し付けられたようです。

その数分後、妖怪御一行様がトイレよりご生還。

「およよ?他のみんなは?」

などと、ぶりっ子に聞いてきます。黙れ妖怪め!なにが「およよ?」だ。俺はなお前らの飼育を押し付けられたんだ。皆逃げちゃったんだよ!とか思いながらも気の弱い僕は

「ちょっと事件が起こっちゃって・・・・みんな帰っちゃいました」

とか訳の分からない弁明をしてました。事件があったから帰るってなんだよ。みんな刑事でもあるまいに事件があったからって。

「そっか・・・帰っちゃったんだ」

妖怪のうちの一匹が呟きます。このまま妖怪どもがトーンダウンし、「帰ろうっか?」となったらベスト。僕も解放されるというものです。

とか思ったら、

「しょうがないね、じゃあ6人で飲もうよ」

ろくにん!?

どうやら、「妖怪五匹+僕=六人」のようです。もうね、やってらんない

結局、僕は泣きそうになりながら、妖怪五匹に囲まれて深夜まで酒を飲むのでした。死。

もう妖怪とか酔っ払ってさらに醜くなるわ、服とかはだけてるわ。乳をすりつけてくるわ。僕の箸を勝手に使うわで、何度か殺したい衝動に駆られました。殺意の波動が出てたね。

さすがに、居酒屋を出て、妖怪の一匹が「もう、朝まで飲んじゃおうよ!雅子の部屋で朝まで飲もうよ!」とか狂ったこと言い出したときは走って逃げました。死ぬかと思った。

兎にも角にも、合コンとは恐ろしいものです。下手したら生命すらも危険なこともありますので、これから合コン初体験という方は十分に注意して臨んでくださいね。あと、逃げる時は思い切って逃げる決断力も必要ですよ。

僕はこの合コン妖怪事件を契機に、二度と合コンに参加しないことを誓うのでした。

おしまい

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