いまだから言えること

いまだから言えること

Date: 2002/06/04

今だから笑って話せる。そういう思い出というのはとても貴重なものだ。オンタイムではシャレにならないような事柄であっても、時が経てば笑い話に昇華される。なんとも貴重でかけがえのないものだと思う。ポジティブにポジティブに、なんでも笑って話せる。そんな前向きな自分でありたいと思う。

小学生の頃、ピアニカの演奏会というものが全校レベルであった。遠い遠い記憶ではあるが、必死で練習したのを今でも覚えている。ピアニカとは不思議な楽器で、鍵盤の他に息を吹き込むチューブが接続されている。そこから息を吹き込みつつ、鍵盤で音を奏でる。なんとも肺活量を要する楽器だ。

これらのピアニカを各パートに分けてクラス全員で演奏する。僕は下手糞だったので一番簡単なパートをやらされていたような気がする。

必死で毎日、音楽の時間に練習をし、放課後すらも居残って練習した。全ては全校発表会に優勝するためだった。

そしていよいよ本番。全校発表会の日がやってきた。やはりというかなんというかどのクラスも上手で、なんとも緊張した。で、いよいよ我がクラスの順番となり、壇上に登った、もう緊張度もマックス、ドキがムネムネ。

壇上ではなんかオーケストラみたいな隊列になるんですけど、女子が前方の椅子に座ってピアニカを吹き、その後ろに男子がスタンディングで吹くという隊列だった。

僕は何故かスタンディング隊列の前方。僕の前にはクラス一の美少女R子ちゃんが座って健気にピアニカを吹いていた。なんとも何かが起こりそうなシチュエーション。

いよいよ曲が始まり、クラスの全員が練習の成果をいかんなく発揮し、必死で曲を演奏する。不良のYも、おちゃらけSも、変態Rも今日だけは仲間とばかりに必死で演奏する。そう、曲を通じてクラスの心が一つに。ウィアーザ・ミュージック。

もちろん、僕も必死で演奏しましたよ。僕のありったっけの心を鍵盤に込めて、必死で息を吹き込みながら演奏しました。まるでバイオンリン奏者がその演奏に自分の全てを表現するかのように必死で演奏しました。

もちろん、前に座る美少女R子ちゃん、僕のビートを見せ付けて、いいところを見せたかったのかもしれません。男なんてしょせん格好つけたい生き物なんです。

満員の観衆の前で極度に緊張した僕
クラス全員のモチベーションの高さに異常に興奮した僕
R子ちゃんの前で良い所を見せようと入れ込みすぎてしまった僕

何故か、いつもの五割増で口から唾液が生産されるんです。もうなんかピアニカ吹きながらジョルジョルと口から唾液が生産されてるのが分かったね。

当然、その唾液はビアニカの管を伝ってピアニカ本体へ。徐々に奏でる音に唾液が混じり、異音を発し始めます。

プーピープーープー♪ブチョビチョ

プーピープーープー♪ブチョビチョビチョ

プーピープーープー♪ジョルジョルビチョ

明らかに異常な音を発してるんですが、クラス全体の演奏が盛り上がっている今、吹くことをやめることなどできません。そんな非国民なことできない、僕だってクラスの一員だから。そんな想いでさらに吹き続けているとさらに事態は悪化の方向へ。

なんかピアニカって鍵盤の下部の方に穴みたいなのがあるんですよ。空気が抜ける穴というか、唾液が抜ける穴というか。普通はそこを押したりとかしないと中のものが抜けないんですけど、あまりにフィードされた唾液の量が多すぎて臨界点を越えたのかブチョビチョと穴から唾液が飛び始めたのです。

必死で僕が吹くたびに飛び散る唾液。

もうどうしようもありません。こうなったら知らぬ存ぜぬで吹き続けるしかない。などと図太い神経で吹き続けてると、さらに噴出される唾液の量は増加の一途を辿り、何故かその活火山のごとき噴出具合を見てさらに興奮したワタクシは、また唾液を分泌しピアニカに送り込むという悪循環でした。もうやってらんない。

で、ただただ噴出してるだけならいいのですが、演奏している曲が中盤に差し掛かった頃でしょうか、気付いてしまったのですよ。前に座ってる美少女R子ちゃんの肩が濡れてるんです。

いやね、椅子に座って健気にピアニカを吹くR子ちゃんの可憐な白いブラウスの肩がビショビショに濡れてるんですわ。ええ、間違いなく僕の唾液です。

ハァハァ、僕の分身である唾液たちが、ピアニカを通じて美少女R子ちゃんの肩に・・・ハァハァ・・・・。異様に興奮度を増した僕はさらに唾液を分泌。ドコドコとピアニカに送り込みます。もう止まらない。

さらに、曲がサビ部分に突入し、吹き込む力も増大せざるを得ません。かつてないほどの量の唾液がピアニカから噴出。そして飛距離も増す。

R子ちゃんの肩にかかる程度だった唾液も、なんか彼女の黒髪にビチョビチョ飛んでいます。サラサラで艶のあるキューティクル抜群のロングヘアーを汚す僕の唾液たち。興奮してさらに排出される唾液。もうどうにもとまらない。

相当量の唾液に見舞われたR子ちゃんは、見る見る僕の唾液まみれになっていくのです。髪なんか唾液で真っ白。それでも止まることない演奏。もう演奏とか優勝とかピアニカとかどうでもいい。今はただR子ちゃんに唾液を吹きかけることに夢中だ。

きっとR子ちゃんも、背後からベシベシと唾液が飛んで来ていたことに気が付いていたんだと思う。だけども演奏を止めることもできず、心優しいがあまり露骨に嫌な態度も取れない彼女はただただ我慢。そのいじらしさが狂おしいほど萌ェ。

そうこうするうちに、演奏も終わり。唾液まみれのR子ちゃんができあがりました。なんとも満足。唾液まみれの美少女の後姿・・・・ハァハァ・・・・・。

「ちょっと!R子ちゃん!ビショビショだよ!!!!!どうしたの!!?」

不意にR子ちゃんの隣に座っていたブスが騒ぎ出しました。まあ、ブラウスが透け、髪も風呂上がりのように濡れるほどビショビショでしたし、騒ぎ出さない方が可笑しい。

ああ、僕の青春は終わった。

きっとブスが大騒ぎをし、僕は壇上で満員の観衆が見守る中で糾弾されるに違いない。「あんた、ワザとR子ちゃんにツバをかけたでしょ!!」とかブスに責められ大騒ぎ。先生方も父母たちも大騒ぎ。観衆の中にいる下級生の笑いもの。その中にいる弟は哀れツバ魔人の弟ととして虐められるに違いない。なんということだろうか。

そこでR子ちゃんが言った一言ですよ

「うん・・・ちょっと暑くて汗かいちゃった」

明らかにそんな粘っこい汗など有り得ないのですよ。なのに僕をかばってか頑なに汗だと主張するR子ちゃん。まるで天使のような子ではありませんか。

僕はそんな天使を、ピアニカにかこつけて唾液で汚したのです。ものすごい罪悪感だった。

当時は、死にたいと思うほど悩みました。美少女に唾液をかけるという快楽に身を委ね、落ちていった自分の不甲斐なさを忌み嫌いました。僕はなんてことをしまったのだろうかと。

ほんと、少年だった僕は本気で悩んだんですよ。R子ちゃんが先生とかに「唾液かけられました」とか言ったら僕は逮捕されるんじゃないかと。怖くて怖くて、さらにR子ちゃんに悪くて卒業まで彼女の目をまともに見れませんでした。

だけども、今はこうして笑い話にできるし、ネタにだってできる。もはや良い思い出になっているんです。

人間というのは基本的にポジティブ思考なのだと思います。辛い思い出も時間が経てばきっと良い思い出に、美しい思い出に、オナニーネタになるものです。でなければ人生なんて辛すぎて生きていけない。

きっとR子ちゃんも浴びるほど僕の唾液をかけられた思い出が、美しい思い出に変わっているに違いない。きっとそうだ。

そう思う僕はポジティブすぎるかもしれない。

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