あのつくことば。

あのつくことば。

Date: 2002/04/12

集団があればアイドルが存在する。人がある人数だけ集まれば自然とリーダーとなる人物とアイドルとなる人物が存在するようになります。国家という視点で見ればもちろん総理大臣がリーダーであるし、アイドルは沢山存在します。しかし、そんなマクロな視点だけでなく、ミクロな小集団でもリーダーとアイドルは存在するようになります。

例えば、職場。小さなオフィスの中にでもリーダーはいますし、アイドルもいます。僕の職場のアイドルは多分偽巨乳A子さんではないかと。それに最もアイドルが生まれやすいのが学校ではないかと思います。クラスのアイドルや学校のマドンナ。これらは全てミクロな世界でのアイドルと言えるでしょう。

僕の通っていた小学校にもそんなアイドルがいました。とてもとてもカワイイ子で、名前は若菜ちゃん。クラスどころか学校のアイドルでした。今思うとかなりの美少女だったなぁ。

で、なんかその学校のマドンナ若菜ちゃんは僕の隣の席だったんですよ。学校中のアイドルが僕の隣の席ですよ、隣の席。狂おしいほど隣の席。

やはり若菜ちゃんは美少女ですからモテました。田舎の小さな学校でしたが、クラスには40人ぐらいの生徒がいたでしょうか、そのうち半数が男子。20人の男子のほとんどが若菜ちゃんのことを好いてたね。間違いない。それだけ若菜ちゃんは大人気だった。そりゃ隣の席に座ってる僕は皆に恨まれるってね。

で、僕も当然その若菜ちゃんに恋をしてたのかってところに話が及ぶんですよ。学校中のアイドル、クラスの男子全員が惚れる若菜ちゃん、そんな子が隣に座ってるんですから当然惚れるとか思うでしょ。ところが意外にも僕はあまり好きではなかったんですよ。あんま興味なかった。

だから、隣の席と言っても別にこれと言って得した気分ではなかったですし、ほとんど若菜ちゃんと話をしたことがありませんでした。僕ってばとってもクールな小学生だったんです。

そんなある日、事件は起きました。

たまたまその日は検尿を提出する日だったんです。生徒達が各自検尿用の容器を持ち帰り、朝したオシッコを容器に入れて登校します。そこで黒板の所に置かれている袋に容器を投げ入れ提出する。そんな行事でした。

若菜ちゃんがいくら美少女と言えども例外ではありません。こんな綺麗な顔してオシッコして容器に入れて登校してくるのです。かばんにオシッコつめて登校してくるんです、美少女が。小学生でありながらなんか興奮した思い出があります。検尿って僕にとっては狂おしいほど興奮する行事だったんです。

なぜか検尿の日は張り切って妙に早起きしてしまう僕は、早朝からオシッコを採取し元気に学校へと行きました。きっとこんな早い時間に行っても教室には誰もいないでしょう、僕が一番乗りに違いありません。なぜか一番乗り好きな僕。

やったー一番乗りだー、という勢いで教室に入ると、既に先客がいました。なんか教室には若菜ちゃんが1人ボツンと座っているんです。

美少女が朝の誰もいない教室に1人佇んでいるのです。とても絵になる。僕も自分の席に座り普通に朝の準備をしていました。カバンを開けると中にはビニールにくるまれた検尿容器が。ああ、そうだ、今日は検尿の日だった。提出しなきゃ、とか思って自分の尿を持って黒板の所までいきました。検尿の提出用の袋は男子と女子で別々になってました。

男子の方は当然ですが空っぽです。男子は僕しか来ていないのですから。女子の方は・・一つの検尿容器が入っていました。間違いありません、若菜ちゃんの尿です。

学校中のアイドルの尿
皆が惚れている若菜ちゃんの尿
清純な顔した若菜ちゃんの尿
まるでシラユリのような若菜ちゃんの尿

・・・・たまらん。なぜだかわからないがムチャクチャ興奮する。なんか若菜ちゃんと尿が全然繋がらないんです。ドキドキしながら検尿を男子用の袋に入れました。少し手を伸ばせば・・・若菜ちゃんの尿が・・・・。っていうかこうして僕の尿と若菜ちゃんの尿が隣り合って2人っきりで存在していることが信じられない。普通ならゼッタイに交わるはずのないものだ。尿尿、若菜ちゃんの尿。

いっそのこと盗んでやろうかと思ったのですが、ヘタレな僕は手を出すことができませんでした。っていうか若菜ちゃん、俺のこと見てるし。

で、大人しく自分の席に戻り、朝の準備の続きをしていました。

そうこうしていると若菜ちゃんの友人の女子が登校して来ました。若菜ちゃんはしばらく友人と話をすると、そのまま友人と一緒にトイレかどっかに行ってしまいました。友人はこの時何故か検尿を提出していませんでした。

つまり、この瞬間、この教室には僕と僕の尿、それに若菜ちゃんの尿だけとなったわけだ。まさしく神が与えたもうた空白の刹那。なんとも狂おしい。

ドキドキ・・・・若菜ちゃんの尿・・・盗んじゃおうかな・・・・

まてまて、盗んだら確かに興奮するかもしれない。しかし、盗んだ尿を何に使うのだ。この当時オナニーなんて知らなかった僕はどうしていいのか分からなかった。まさか飲むわけにもいかんしなぁ。などと悶々としていました。

ダメだ・・・・このまま教室にいては僕はどうにかなってしまうかもしれない。

用もないのに教室を出てトイレに向った。トイレに向う道中、クラスメイトの山田君とすれ違った。危ない所だった、あのまま若菜ちゃんの尿に手を出していたら間違いなく現場を山田に目撃されただろう。そして僕は社会的に抹殺されただろう。やはり悪いことはするもんじゃない。尿を盗むなんて。

朝したばかりなのに無理やりトイレで小便をし、僕は教室に戻った。教室に帰れば誰か来ているだろう、山田もすれ違ったことだし、もう僕と若菜尿2人きりではない。ならば妙なことも考えないはずだ。

教室に入ると、まだ若菜ちゃん達グループはトイレから帰ってきていませんでした。女のトイレは長い、いったいトイレで何やってんだ。で、教室の片隅に山田君がいるだけでした。

僕も自分の席に着き大人しく座ってるんですが、ふと検尿提出袋に目をやると様子がおかしんです。男子の袋には尿二つ、僕と山田君のです。そして・・女子の袋は空っぽでした。

間違いありません、山田のヤツ、若菜ちゃんの尿を盗んでます。

コノヤロウ、尿なんか盗むのは変態のやることだ。とか思うじゃないですか。僕だって怒るじゃないですか。いっそのこと山田のヤツを締め上げて若菜ちゃんの尿を取り替えそうかと思いましたよ。

そこに若菜ちゃんと友人達が教室に戻ってきます。なんだか山田を追及するタイミングを逃してしまいました。そうこうしているうちに皆が登校して来て、一気に教室は騒がしくなり検尿袋も山盛りになります。

そして先生が来て、誰が提出したのか容器を一つ一つチェックして名簿につけていきました。その後に提出してない人の名前が呼ばれ明日は持ってくるように注意されます。

その未提出者の名前の中に若菜ちゃんの名前もありました。

当然です。若菜ちゃんの尿は山田のバカが盗んだのです。未提出として処理されるはずです。それを聞いて若菜ちゃんは僕の隣で驚いた顔をしていました。

さあ、普通ならここで若菜ちゃんが「私は提出しました」とでも先生にカミングアウトし、「なに!?」ということになるだろう。誰かが盗んだのかもしれないと言うことになり、大騒ぎになる。犯人探しが始まるだろう。で、先生は全員に目をつぶらせ、「盗んだやつ、正直に手を上げろ、大丈夫だ、このことは先生とその人だけの秘密にするから」とかやるに違いません。そして手を上げる山田。先生は「みんな目を開けていいぞ、山田、後で職員室に来い」とか言うはずです。それで山田が変態の烙印を押されるだけで全てが丸く収まる。

なのに若菜ちゃんはただただ俯いているだけでした。

ココで自分が騒げば皆に迷惑がかかる。盗んだ誰かが変態にされてしまう・・・。そんなの可哀想・・。そう思ったどうかは知りませんが、若菜ちゃんは犯人をかばって黙ってるかのように見えました。その時、僕は初めて若菜ちゃんのことを好きになったのです。

さあ、困ったのは若菜ちゃん。盗まれたとカミングアウトすることもできない。でも明日は提出しなければならない。なのに容器は既にない・・・。困惑したことでしょう。

世の中は優しい人、良い人が困惑するようにできています。なんて不条理な社会でしょうか。若菜ちゃんが心を痛め悩んでいる影で山田は尿を見て興奮しているのです。飲んだりとかもしてるかもしれません。なんて不条理なことだろうか。

次の日、若菜ちゃんは検尿を持ってきました。どこかから容器を手に入れたみたいです。しかし、なんか直接保険の先生に提出しに行ったみたいです。その時、一瞬だけチラリと若菜ちゃんの検尿容器が見えたのですけど、なんか魚の形をした醤油の入れ物みたいでした。

ほら、寿司とかについてくる小さな醤油入れあるじゃない。魚のカタチしたヤツ。なんかそんな黄色の魚が見えたような気がしました。

美少女若菜ちゃん、尿、魚型醤油入が全然繋がらないんです。

それから僕は尿を醤油入れに入れてくる彼女の狂い加減、そして犯人に対する優しさに惹かれ多くの男子同様に彼女を好きになりました。なんて素敵な人だろうか。

自分がもてることをまったく鼻にかけていない若菜ちゃん
優しい若菜ちゃん
カワイイ若菜ちゃん

全てが狂おしいほどに好きでした。

しかし、その数年後、若菜ちゃんは父の仕事の都合で転校していきました。こうして僕の尿を巡る若菜ちゃんへの儚い恋心は消え去りました。その想いを伝えることもなく・・・・。

20歳になり、同窓会がありました。

遠くから若菜ちゃんがワザワザやってきて参加するという噂が駆け巡り、当時恋していたほとんどの男達は色めき立ちました。もちろん僕も。みんな二十歳になった美少女若菜ちゃんに期待し、狙っていました。

期待通り、二十歳になった若菜ちゃんは一層綺麗になっていた。可憐な女優のようになっていた。男達は狂ったように若菜ちゃんに駆け寄り、自分のことをアッピールします。若菜ちゃんの周りにまるで花びらのように男達が群がります。そう何層も何層も花びらを持った華麗な華のように。

僕はそんな輪に入らず、遠巻きに彼女を見ていました。そしてどことなく寂しい気持ちを抱えていた。

今日ココに来たのは若菜ちゃんじゃない

若菜ちゃんは変わってしまった。群がる男どもを見て自分の魅力を再確認し、誇ってるかのように見えた。あの頃の若菜ちゃんは、自分でもモテモテなのを自覚していただろう、しかしそれを鼻にかけるような素振りが全くなかった。そして優しかった。

しかし、今は「レベルの低い男は話しかけないで欲しいわ」などとトイレで友人に言うほど高飛車になっていた。僕はトイレの前を通った時に偶然このセリフを聞き愕然となったのだ。

ここに若菜ちゃんはいない

転校してから二十歳までに若菜ちゃんに何があったのか分からないし知ろうとも思わない。ただ、ほっといても男が群がってくるような恵まれた人生だったのだろう。なんとも言えぬ気分だ。

もう帰ろう

僕はそっと会場を後にすることにした。すると出口付近に二十歳になった山田がいた。僕は山田と一緒に会場を出て駐車場へと向った。

「彼女・・・変わったよな・・・」

「うん・・・あんな感じになっちゃうとはな・・・・」

「お前・・・・若菜ちゃんのオシッコ盗んだだろ」

「・・・・・・・・・・・・・なんで知ってるんだ・・・?」

「知ってるさ、ずっと黙ってた」

「2人で飲みに行こうか?」

「そうだな、じゃあ口止め料代わりにお前の奢りな」

「・・・・・・わかった・・・・」

山田はシュンとなっていた。この夜は2人で居酒屋で大いに盛り上がった。

「で、結局、お前はあの尿をどうしだんだ?飲んだのか?」

ビールを飲みながら尿の行方について山田を問いただしたが結局答えは得られなかった。

人はその記憶を永遠に美化し続ける方が幸せなのかもしれない

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