原チャリだったあの頃

原チャリだったあの頃

Date: 2002/03/30

こら!誰だ「勃起 モー娘」で検索してうちにきたやつは。けしからん。「モー娘」と略す場合でもちゃんと「。」つけなきゃダメ。「モー娘。」ってね。

・・・・<初歩から始めるモーニング娘講座>タイトルから「。」が抜けてるじゃないかって?こりゃうっかり。

という余談は置いておきまして、今日から久々に普通の日記を書くわけです。ってかブランクが長すぎて何を書いていいものやら。困った時の思い出頼り、というわけで今日は思い出話です。

春休みの時期、つまり丁度今の時期なんですが、これはとても大切な時期です。普通の勤め人の人やただ学年が上がるだけの学生さんはなんてことはないでしょうが、進学や就職などの新しい門出を迎える人には大切な時期です。なんというか、次なるステップへの羽休みの時期とでも申しましょうか。

僕も中学を卒業した時の春休みには忘れられない思い出があります。中学を涙涙の卒業、その後高校へと羽ばたいていくのです。そんな多感な時期の春休みのお話し。

近所に住むお大尽な幼なじみKの話はどこかでしたような気がする。超大金持ちのKと僕は近所ということもあり、仲良く遊んでいた。しかし、中学にもなるとKは性質の悪い連中とつるむようになり、どんどんと不良化していった。

もともと金持ちではあったが放任主義的だったKの家は一気に溜まり場と化し、連日不良たちがKの部屋に集まりタバコを吸ったり酒を呑んだりしていた。そんな不良中学生の中に僕はいた。

中学も終わり、不良達は進路も決まらず、春からは大工になるとか漁師になるとか言っていた。僕もKも高校進学が決まっていた。もう一緒に遊べるのもあと僅か、不良達といえでも淋しい気持ちはあるようだった。

そんな不良グループの中で最近、ひときわホットだった話題は原チャリである。僕らは皆次の誕生日さえくれば免許を取り、原チャリに乗れる。不良たちにとってバイクや原チャリというのは憧れの存在で、神のような、ものだった。

あと数ヶ月・・・誕生日さえくれば原チャリに乗れる

そう思うとワクワクし、皆で「このバイクが欲しい」などと雑誌やカタログを見て談笑したものである。

しかし、不良、しかもガキ。そんな輩に我慢など出来るはずもない。乗りたい、原チャリに今すぐ乗りたい。我慢できない、乗りたい乗りたい。

悪ガキどもの我慢はもはや限界に達していた。もうこうなったら原チャリ泥棒をするしかない。

深夜、近所の公園に結集した悪ガキたちは、獲物を求めて街を徘徊する。そこに駐車中の原チャリを発見した。今でも覚えている、白い「pal」とかいうウンコみたいな原チャリ。籠とか手袋とかシールドとか装備されて一目にオバチャン原チャリだというのがわかる。

そんなダサい原チャリでも僕達にとっては憧れの対象である。早速僕達は協力してそれを盗んだ。実行犯はM。Mが気付かれぬように神の如き速さで原チャリを盗む。それを公園に持って行き、直結を行う。キー部分を介さずに直接エンジンに繋げてエンジンを起動させるのだ。さすればキーなどいらない。キーなしで乗れる。

結果は見事大成功。まんまと原チャリを盗んだのだ。

皆は大喜びしながら夜の公園沿いの直線道路をグルグルと走った。僕も乗らせてもらった。

感動した。アクセルをひねれば今まで体感したことないようなスピードが出る。一気に視界が狭くなり、風と一体になり高速で移動する自分がわかる。最高の気分だ。窮屈な学校も親も規則もココにはなにもない。あるのはスピードの向こう側だけ。まさに盗んだバイクで走り出す、だ。

一通り盗難バイクの試乗会が終わる。皆は興奮のあまり上気だった顔をしている。皆、最高のフィーリング、最高のエンジンサウンドに感動しているのだ。

「明日も夜乗ろう」

誰かが言い出した。昼間は目立つため乗ってはならない。今日のように深夜に集まってまた乗ろうということになった。今日のところは茂みにバイクを隠しておき、また深夜集合ということだった。

次の日、春休みとは暇なものだ。朝から何もすることがない。母さんには次はいる高校の勉強でもしてなさいとか言われたが、そんなもんやる気ナッシング。やってられるか。

ああ、しかし、昨日のバイクは最高だったな。なんていうかあの空気を斬るような感覚。最高だよな。スピードを出せば出すほど自分の体が空気と一体となり、まるで溶けていくみたいだった。

乗りたい乗りたい。原チャリに乗りたい。今乗りたい。夜まで待てない。今乗りたい。

そう思ったら、そこは我慢が出来ない子供。もう乗ることしか考えていません。「みんなに内緒でこっそり乗ろう、大丈夫だよね」こんな邪な思いを抱え、僕は公園へと行くのでした。

公園に行き、昨日原チャリを隠した茂みまで行ってみます。この茂みの中には最高のエクスタシーを僕に与えてくれる原チャリが潜んでいる。なんて最高の気分だろうか・・・。

・・・・・ないんです。

昨日確かに隠した場所に原チャリがないんです。一体どうしてしまったのだろうか・・・。まさかもう警察かなんかに盗難バイクだということが発覚してしまい、回収されてしまったのでしょうか。そうだったら残念です。

僕は茂みを見通せる高台に座り、買ってきたジュースを飲んでいました。

ああ・・・もう一回乗りたかったなぁ。もう誕生日になって免許取るまで待てないよ。今乗りたい。本当に今すぐ乗りたい。

高台の下、茂みの横辺りでは清掃員のようなオジサンが落ち葉拾いをしていました。

きっとあのオジサンが盗難バイクを発見したのかもしれない。ああやって落ち葉拾いしてたらバイクなんてすぐに発見しちゃうよな・・・まったく余計なことしやがって・・・とか考えていました。

ブルルルルルルルウル

!!!?聞き覚えのあるエンジン音です。ええ、あの僕達の相棒、最高の盗難オバチャンバイク「pal」ですよ。帰ってきたんだ。よかった。

いやね、なんか僕と同様に乗るのを我慢できなくなったMが、コッソリと来て乗っていたみたいなんです。つまりバイクがなかったのは先客がいたから。なんだよまったく、心配させやがって。だったら次は俺が乗れるじゃんか、やったね。

颯爽とバイクにまたがり、公園の中をひた走り茂みへと消えていくM。なんだかバイクは少年を大人に変える。Mがりりしくカッコ良く見えました。そして茂みの中から聞こえていたエンジン音が消え、後片付けを終えたMが茂みの中から出てきました。さあ、次は俺の番だ乗せてもらおう。風になろう。笑顔でMに手を振り挨拶をしようとした瞬間でした。

ガサッ!ガチッ

先ほどまで落ち葉を拾っていた清掃員が突如Mのことを羽交い絞めにするのです。なにがなにやら分からず暴れるM。しかし清掃員にしては体躯の良すぎる男はビクともしません。それどころか

「暴れるな、警察だ」

という清掃員の掛け声のもと、周りに止まっていた車から次々と警察官らしき人々が。一気にMは捕まってしまいました。

「お前がバイク盗んで乗り回しているのはわかってるんだ」

落ち着いた声で言う警察官。しかし、Mも簡単には捕まりません。大暴れ、警官の手をかんだり蹴ったりと往生際の悪さ。数人で取り押さえようとする警官。まさに大乱闘でした。

その一部始終を僕は高台の上から見ていました。

大切な友人が今まさに警察の手に落ちようとしている。そんなことあってはならない。よし!加勢だ!ウォォォォォォォォぉ!物凄い勢いで高台を駆け下り、警察相手に大乱闘。もう迫り来る警官をちぎっては投げちぎっては投げ。

というようなことは全くなく、「僕は他人ですよ~」と涼しい顔して逃げました。ホント危なかった。自分の身がカワイイ中学生ですから。

で、結局は、Mは警察に捕まり、バイクは弁償。なんか裁判所とかにも行ったらしいです。彼も高校進学が決まってたのですが入学と同時に停学と言う伝説を作ったらしいです。おそろしや、一歩間違えば僕がこうなっていたのです。

未だにMからは会うたびに「あの時は逃げやがって」と言われたりしますが、僕の中では良い思い出です。バイクと共に風になり、警官と戦うMを見て感動したりと。

その後は僕とM以外の間ではこの話はアンタッチャブルとなり、触れてはならないタブーとして秘密の思い出となったのですが、一年前のMの結婚式において僕が友人代表スピーチで全部暴露し、披露宴を恐怖のズンドコに叩き落しました。これもまた良い思い出。

ホント、若い時っていいよね、全てが輝いて見える。

あの時のバイク泥棒Mも今じゃ立派な1児の父です。お幸せに

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