平田君と亀井さん

平田君と亀井さん

Date: 2001/12/10

平田君は、いまどき珍しく爽やかな青年だ。 ちょっと色グロな素肌にキラリと光るまぶしく白すぎる歯、抜群のスマイル。俺が女だったら間違いなく惚れてしまうだろう。俺の中での抱かれたい男ナンバーワンだ。(注 ホモではありません)

亀井さんも、今時見かけない、純日本風のおしとやかな大和撫子。整った顔立ちに優しそうな表情。 頭の上で束ねた黒髪が美しく、見るものの視線を奪う。 今日お送りするのは、そんなステキすぎる二人の切ないラブストーリーです。

僕が、平田君と亀井さんに始めて出会ったのは近所にあるコンビニだった。 僕なんかは所詮、ヤロウの独り暮らしなので、 スーパーでお買い物をしてルンルンに自炊♪なんてことは間違いなくしない。

そうなると、近所のコンビニはライフラインとなる。一日に最低でも2回は立ち寄るし、多いときは5回も6回もコンビニに行ってしまう。そうなってくると、自然と店員の顔なんか覚えてくるし、胸に付けている名札から名前まで覚えてしまう。そこでイチバン最初に覚えたのが、このコンビニでアルバイト店員として働く平田君と亀井さんである。上記のようにトカク素敵な二人である。僕に与えたインパクトは相当なものだ。

最初に平田君と亀井さんが二人でレジを受け持っていたときなんかは、俺はどっかのモデル事務所にでも迷い込んだのではないか?と錯覚したほどだった。 こうして、俺は、このコンビニに行くたびに、彼ら二人を観察するようになったのだ。

平田君はやっぱりナイスガイだ。嫌なオッサン客なんかにも、百点満点スマイルでハキハキと対応しているし、何よりもキビキビと働く働く、見ているこっちまで気持ちよくなる働きぶりだ。普通、コンビニのアルバイト店員なんてやる気ゼロの無気力な若者がやってたりするもんだが、平田君は違う。彼はアルバイトでありながらこのコンビニで働くのが好きなのだ。

亀井さんだって、いい女だ。 見た目はお嬢様風なのだが、バイトとなると別である。キビキビ動くし、「いらっしゃいませ」の声も爽やかな風のようだ。細かいところにもよく気がつくし、店内の掃除だって手を抜かない。他のバイトに対するフォローも忘れない。  

ここで、勘違いしないで欲しいのだが、僕と平田君と亀井さんの関係は、客とバイト店員でしかない 「お弁当温めますか」 「はい」 程度の会話しかしたことがないのだ。 ただ、俺は、この二人が余りにも素敵だから、雑誌を立ち読みしながら、時間の許す限り二人を観察していたに過ぎないのだ。

しかし、この平田&亀井ウオッチングが徐々に危険な方向に傾きだすのである。元々、妄想癖のある僕である。 なぜか知らないが、勝手に頭の中でドラマを作り始めてしまい、 徐々に盛り上がってしまっていっていたのだった。 俺の中で構築されたドラマによると、既に平田君と亀井さんは恋人関係にあるのである。

3年半付き合った彼に振られてしまった亀井さん。原因は、亀井さんが大学進学したことにより、彼と遠距離恋愛になり、相手が別な女を作ってしまったため。失恋のショックで何もする気にはなれなかった彼女だが、落ちち込んでばかりもいられない。近所のコンビニでバイトすることにする。別に金に困っていたわけではないのだが、何かしていないと、寂しさでおかしくなってしまいそうだから・・・・。そしてバイト先で平田君と出会う。亀井さんは一瞬で恋に落ちるのだ。

平田君は平田君で、中高と陸上一筋の陸上バカ。女性と交際なんて考えたことも無い。彼もまた亀井さんに一目逢った時から恋に落ちるのだが、いかんせん、どうやって女性に接したらよいのか分からない。亀井さんも亀井さんで、元彼との破局が心に引っかかっている。 「男の人を好きになったって悲しいことばかり、大好きな人との別れがいつか来るなら、いっそのこと付き合わないほうがいい」と恋に臆病になっている。

こんな二人が、互いに弱い部分や足りない部分を出し合い、チグハグなラブストーリーが展開する。見所は、男性恐怖症とも言える心の壁を作ってしまった亀井さんの心の傷を、平田君が持ち前の明るさで溶かしていこうとするところだ、しかし、陸上バカの彼は、クールな自分なんて表現できない。どこか滑稽で、それでいて憎めない彼の愛情表現に、いつしか亀井さんの心の壁も崩れ始めていくといったところだろうか。何度も言うが、これは俺の空想のラブストーリーだ。バーチャル平田君&亀井さんといったところだろうか・・・。

もちろん、このストーリーには俺も登場している。 バーチャルラブストーリーの中の俺は、平田君と亀井さんの親友で、両方の相談にのったりしている。トレンディドラマで言うところの江口洋介あたりのポジションである。

「はやくお前ら、くっついちまえよ。見てるほうがイライラするぜ」

とか居酒屋でチュウハイ飲みながら平田君に言っているのだ。 もはやここまでくると、妄想というよりは幻覚である。非常に危険な状態だ。 コンビニに行き、二人が協力しながらレジ打ちをしているのを見るとうんうん、彼らはうまくいってるんだな、と脳内親友としては嬉しくなる。

そんな俺の空想とは無関係に、平田君と亀井さんには、まったく恋の予感は感じられなかったのだが・・・・。しかし、予想だにしなかった事件が起こるのだった。

ある日、いつものようにコンビニに行くと、そこには平田君と亀井さんの姿は無かった・・・。 おかしい・・・。いつもならこの曜日のこの時間は、二人してバイトに入ってる時間である。

何かあったのだろうか・・・・。とにかく、居ないものはしょうがない、今日の空想ラブストーリーはお休みである。買うもの買ってとっと帰るに限るのだ。などとエロ本を物色していたら 突然、俺の携帯電話が鳴った。 友人からの電話である。 さすがに店内では話しにくい内容だったので、俺は店の外に出て、 屋外で話し始めた。僕はジットしていることが出来ない性質なので、電話で話しながらもウロチョロト歩き回ってるのだが、 そこでとんでもないものを目撃してしまった。

店の裏に平田君と亀井さんがいるのである。 どうやら彼らが店内にいなかったのは、休憩を二人でとっていたからのようだ。しかし、一緒に休憩をとり、店の裏で談笑なんて、二人の関係がそこまで進んでいたなんて・・・。 まんざら、俺の空想も空想でなくなってきた。 これは願ってもないチャンスである。

俺は友人からの電話をたたっ切り、物陰に隠れて二人の会話を盗み聞きすることにした。そしてとんでもない事実が僕に突きつけられるのである。

「ねえねえ、私達が付き合ってるって誰も気づいてないよね」

「ああ、でもこの間、店長に、お前ら一緒な時間にシフトに入ってばっかりで怪しい、とか言われたよ」

「やっぱまずいかなぁ・・・。」

「まずいなぁ」

「ねぇ、今日帰ったら一緒にお風呂入ろうよ」

「えーまたかよ」

こいつら付き合ってます。しかも同棲してやがります。恋人度450%の会話が交わされているんです。 なんてこったい、既に平田君と亀井さんは俺の空想を飛び越えて交際どころか同棲までしているんです。

まったくもって不純なヤロウどもである。 これじゃあ俺の描いた純なラブストーリーも台無しである。おまけに、キスまでし始めやがった。とんでもないエロカップルどもだ。 くそーーーーー。

空想の中では二人のよき相談役であり親友であった俺だが、 現実世界では二人の熱烈ラブシーンを覗いている、ただのエロガッパに成り下がってしまった。 まったくもって情けない。 こうして俺は、二人に裏切られたような気がして、悲しくなり 枕を涙で濡らした。 そして二人を避けるようにして、そのコンビニには行かなくなった。

コンビニの裏でチュッチュとやりあうのはやめましょう
エロガッパが悲しみます。

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